水ぶくれって小さいですけどすごく痛くて、できると結構厄介ですよね?
足に水ぶくれが一度できてしまうと、痛くて変な歩き方や走り方になって運動パフォーマンスは低下したり、痛みをかばう動きによって別の怪我を生み出したりしてしまうこともあります。
水ぶくれの対処法は、まずは予防すること。水ぶくれができる原理を知って、それが起きないようにすることで、たとえ新しいシューズを使っても未然に防ぐことができます。
また、水ぶくれができてしまったとしても、適切な対処・処置を行うことで、痛みを最小限にとどめるとともに、早く治すことができます。
米国公認アスレティックトレーナー(BOC-ATC)として、日本・アメリカのスポーツチームで活動してきた私は、様々なスポーツ選手の水ぶくれを対処してきました。
本記事では、水ぶくれがどのようにできるのか?どうすれば予防できるのか?水ぶくれができてしまったら、つぶしたほうが良いのか?それともそのままにしておくべきなのか?どのような処置・ケアをするべきなのか?を徹底的に解説していきます。
本記事は「足の水ぶくれ」を想定して書かれていますが、足以外に水ぶくれができても対処法は一緒です。
>>今回の参考論文はコチラです。
「Managing Blisters in Competitive Athletes」
水ぶくれができる原因・予防方法・ケアの仕方についてまとめられた論文です。リンク先ではAbstractしか見れませんが、簡潔にまとめられている論文でした。
「Blisters: First aid」
世界的に有名な医療クリニック「Mayo Clinic」のサイトです。有益な情報が豊富です。
「How to Prevent and Treat Blisters|American Academy of Dermatology」
アメリカ皮膚学協会のウェブサイトより、水ぶくれの予防・ケアを方法が紹介されています。
水ぶくれの適切な対処法
水ぶくれができてしまったら、まずそれが「すごく痛い」のか「そんなに痛くない」のかで、対処法が大きく変わります。
1)水ぶくれができたけどそんなに痛くない
もし「水ぶくれはできたけどそんなに痛くはない」「ちょっとプヨプヨしてて気になる程度」「直径5mm以下くらいの小さな水ぶくれである」といったものであれば、無理に薄皮を破ったり穴をあけて水分を取り除かずにそのままにしておきましょう。
水ぶくれをつぶすということは、皮膚を切る・穴をあけるということです。皮膚に傷をつけるということは、そこからバイ菌が入るなど「感染症」のリスクが上がります。
よって、痛くないのであれば、つぶさずに自然に水分が抜けるのを待ちましょう。その皮膚がバイ菌・細菌が入るのを防いでくれます。
水ぶくれをつぶさずにキープする処置の方法
一番最悪なのは、運動中につぶれてしまうことです。よって、セカンドスキンやキズパワーパッドのようなものを貼って、水ぶくれを保護しましょう。
私がアメリカの大学スポーツでトレーナーとして活動していた際は、つぶさない水ぶくれは、セカンドスキンをのせてバンドエイドを貼り、テーピングを軽く巻いて保護していました。
もしキズパワーパッドのような絆創膏を貼ると、その圧迫で痛いという場合は、水ぶくれ部分に穴をあけて(ドーナツ型に切って)、その圧迫を和らげてあげると良いです。
2)すごく痛い水ぶくれができた
「痛みのある水ぶくれができてしまった」もしくは「直径5mm以上の大きな水ぶくれができた」といった場合は、中の水分を抜いてつぶした方が良いでしょう。
水ぶくれの適切なつぶし方を解説します。むやみやたらと皮を破ってつぶすのはやめましょう。バイ菌が入って感染症になり、水ぶくれ以上に厄介なことになります。
適切な水ぶくれの水分の抜き方
- ぬるま湯とソープで、手と水ぶくれ周辺をキレイに洗う
- 水ぶくれに穴をあける針を、アルコール綿(下リンクのようなもの)などで拭いて消毒する
- 水ぶくれの端っこを狙って、消毒した針で穴をあける
- あけた穴から水分を押し出すように抜く
- 水分が抜けても、薄皮はそのままキープ
- 再びぬるま湯とソープで、水ぶくれ周辺をキレイにする
- セカンドスキンやキズパワーパッドを貼って保護する
- 毎日水ぶくれの部位をチェックして、膿(うみ)が出るなどの感染症になっていないかをチェックする
- 穴をあけた皮の下部分に新しい薄皮ができてきたら、上のピラピラした皮(=壊死した皮)を、アルコール綿で消毒したはさみで切り落とす
- しっかり治るまで、毎日ソープで洗ってキレイに保つ
水ぶくれをつぶす際に一番気をつけるのは「感染症にならないようにする」ことです。
よって、1) キレイな状態にしてから水ぶくれをつぶすこと、2) あける穴は必要最小限の大きさにすること、3) つぶした後はこまめにソープで洗ってキレイに保つこと、を徹底的に行うことで、安全に、そして早く水ぶくれを治すことにつながります。
水ぶくれに穴をあけたらそれは「傷」です
上記していますが、穴をあけるということは肌に「傷」を作るということで、それはつまりそこからばい菌が入りやすくなってしまいます。穴をあけた後は、1日数回せっけんでキレイにして、バンドエイドなどを毎回貼って、ばい菌が入らないように清潔に保つことが大切です。
もし水ぶくれの穴をあけて水分を出したとき、その液体が透明ではなかったり赤かったりしたら、ばい菌が入って感染している可能性が高いです。病院(皮膚科)に行って医師に診てもらい、感染を抑える薬などをもらいましょう。
湿潤治療と組み合わせれば、水ぶくれはより早く治ります。「傷の応急処置」について「擦り傷・切り傷を早くキレイに治す方法【家で簡単にできます】」で解説しているので、ぜひこちらもお読みください。
水ぶくれができる原理を知って対処法を考える
そもそも水ぶくれはなんでできてしまうのでしょうか? 水ぶくれができる原因を知ることで、予防するための対処法を考えてみます。
水ぶくれができる原理は、以下の3つが挙げられます。
1)汗(特に手足)
汗は皮膚をしめらせ、柔らかくする(お風呂に入ったあとのふやけた状態みたいな感じ)ので、水ぶくれができやすくなります。よって、汗があまり蒸発せずに肌にとどまってしまう、夏の気温と湿度が両方高い日は特にできやすいです。
2)皮膚・肌への摩擦
また、特に足に水ぶくれができやすい理由が、シューズによる足の皮膚への摩擦です。摩擦によって、皮膚の下や中に少量の液体が生み出されます。
3)強度の高い持久的な運動や長い時間の練習
足にシューズがフィットしていない場合も、水ぶくれができやすいですね。「足とシューズがフィットしていない=摩擦が増える」ということになりますからね。
上に挙げた原因の他に「タバコを吸う人は水ぶくれができやすい」というのも、参考文献には挙げられていました。理由としては、ニコチンなどの化学物質により、慢性的に皮膚の細動脈の血管が収縮し、それが皮膚を弱くしてしまうため、水ぶくれができやすいということです。
水ぶくれの予防方法
それでは、水ぶくれができるのを予防する方法について。これは単純に、上に挙げた水ぶくれができる「原因」が起きないようにすることです。
1)自分の足のサイズに合ったシューズを使う
これが一番大切です。
サイズが合っていないシューズを履いた状態で歩く・走るなどを「長時間」行うと、「汗」をかいた状態で「肌の摩擦」がたくさん起きます。
これはつまり、水ぶくれが起きる原因をすべて行っていることになりますね。
自分の足のサイズに合ったシューズを使うことで、肌の摩擦が減るため水ぶくれが起きにくくなります。
新しいシューズを買うときはしっかり試す
自分では足は27センチだって思っていても、実は成長していて27.5センチになっているかもしれない。もしくは、左右で足のサイズが違うなんてこともよくあります。更には、同じ27センチのシューズでも、ブランドによって微妙に数ミリ程度サイズが違ったりもします。
新しいシューズを買う時は、色んなサイズを試してみて、できるなら少し走ったり動いたりしてみて、感触を確かめて、自分の足に合ったシューズを選びましょう。
2)靴下選び
次に、どんな靴下を使うかも、水ぶくれの予防にはとても重要です。
靴下が汗を吸って、靴下が湿った状態のまま長時間走ったり動き続けていると、皮膚がふやけた状態になるので、水ぶくれはできやすいです。
「汗をかかないようにする」ことは無理なので、汗をかいても「すぐに乾く」靴下を選ぶことが、水ぶくれ予防になります(夏は特に)。
水ぶくれを予防するための靴下を購入する際は、スポーツタイプの靴下や「速乾」などと書かれている靴下を選びましょう。
今回の参考文献では、コットンやウールの靴下は、水分を吸収したままその湿度を保ってしまうためダメ。ポリエステルやナイロンの靴下が水ぶくれの予防には適した靴下である、と示しています。
3)水ぶくれができそうな部分をあらかじめ保護
「新しく買ったシューズで運動をする」もしくは「夏の暑い日に長時間動き続ける」といったように、あらかじめ「水ぶくれができそうだな」と予想できる場合は、できてしまう前にセカンドスキンやキズパワーパッドなどを貼っておきましょう。
また、靴擦れによる水ぶくれができやすい「革靴」や「ヒール」の場合は、下リンクのような「パッド」を靴に貼ることで、水ぶくれを予防することができます。
まとめ
小さな水ぶくれで、自分の100%のパフォーマンスができないなんて、悔しすぎますからね。できる予防はやって、常に思い切ったパフォーマンスができるようにしましょう!
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