CHAINONを読んでいただいている読者の方から、こんな質問をいただきました。
「首を年に何回か寝違えます。また、寝ている間でなくても運動中に寝違えたみたいに痛めることが多いです。首の寝違えの原因・対処・予防はありますか?」
同じような悩みを持つ方は多いのではないでしょうか?今回は「寝違え」について調べてみました。
突然首が痛くなる「寝違え」とは?
まず、「寝違え」って、なんなのでしょうか?様々なサイトで「寝違え」について調べてみると、このように出てきました
「寝違え」とは、首や肩・背中の筋肉に不自然な力が加わり続けることによって起こる「炎症」のこと(Self Doctor Newsより)
何らかの原因によって、起床時に頸部および肩甲帯部に疼痛を覚え、頚椎運動が制限された状態 (Wikipediaより
寝違えという医学用語はなく、頸部周囲の靭帯や筋肉の急性炎症による痛みの総称。急性疼痛性頸部拘縮と呼ばれることもある(goo ヘルスケアより)
難しい言葉が多いですが、簡単にまとめると、寝違えとは「首・肩・背中 の筋肉に突然起こる炎症で、首への痛みや動きの制限が起きること」です。
人は寝ている時、いろいろな体勢になります。快適な体勢で寝ていればそのままですし、不自然な体勢になってしまったら寝返りをうって、無意識に体に負担をかけないラクな体勢に変えます。ですが時に、不自然な体勢のまま眠り続けてしまうことがあります。変な体勢のまま眠り続けることで、首や肩や背中に不自然な力が加わり続けて、炎症が起きてしまいます。
首を寝違えてしまう原因
「寝違え」についての研究はほとんどなく、わかっていないことが多いのですが、寝違えてしまう原因と考えられているものを2つ紹介します。
1)泥酔状態
大量のアルコールを摂取して泥酔状態のまま寝てしまうと、寝返りを打たないくらい「完全に」熟睡してしまうため、不自然な状態で寝続けてしまう可能性が高いです。
2)まくら/寝具が合ってない
まくらは、寝ている時に首を高い位置に保つことが目的ですが、自分の身体にまくらが合っていないと、逆に不自然な力が首にかかってしまいます。よく寝違えるという人は、まくらや寝具が自分の身体に合っていないことも考えられます。
他に、肝臓が疲れると背中や肩の筋肉がかたくなり、寝返りを打ちにくい体になってしまうため、睡眠不足や疲労による内臓の疲れも寝違えの原因なのではないか(Self Doctor Newsより)、という記事もありましたが、詳細は不明です。
首を寝違えてしまったらどうすればいい?
寝違えてしまった時(もしくは寝違えのような首の痛みが起きた時)、どのようにケアすればいいのでしょうか。自分でできるセルフケアを紹介します。
1)アイシング
寝違えは、簡単に言えば「炎症」です。なので、炎症を抑えることで痛みが和らぎます。寝違えになってすぐ(なってから約2日間)は、炎症を落ち着かせるために1日に数回「アイシング」をしましょう。市販のアイスパックや、氷のうやビニール袋に氷をいれて、痛みのある場所に約15分ほどあてて冷やしましょう。
炎症を落ち着かせるためのアイシングはPRICE(プライス)をすることで効果的に行うことができます。「怪我の応急処置にはPRICEがベスト|適切な処置で最短の復帰を」をぜひ読んでみてください。
2)安静/そっとしておく
寝違えてから約2日間は「痛みの感じるところは触らない」ことと「痛みが出る動きはなるべくしない」ことも重要です。
痛いところをついつい押してマッサージしたくなるかもしれませんが、何度も言うように、寝違えは炎症なので、グリグリ押すと逆に悪化させてしまうことがあります。それと同じく、痛みがでる動きを何度もすると、それも炎症を悪化させてしまいます。痛みが出る動きはなるべく避けるようにして、そっとしておきましょう。無理な動きは禁物です。
3)温める
寝違えてから2日間くらいアイシングをして、痛みが落ち着いてきたら、次は温めましょう。 温め方としては、お風呂に首まで浸かるのが一番簡単でしょう。下に紹介したようなホットパックがあれば、10〜15分間ほどそれを首にあてておくのも効果的です。
4)ストレッチ
温めたら、次は首の筋肉をストレッチしましょう。筋肉は温めるとゆるみやすいので、より効果的にストレッチをすることができます。「痛みのない範囲で」ストレッチをすることが大切です。くれぐれも、痛みを我慢してストレッチをすることはやめましょう。
「筋肉は温めると緩みやすい」については、「温熱療法とストレッチの関係|温めてストレッチすると筋肉は柔らかくなる」で詳しく解説しています。
ストレッチの具体的な例1
寝違えに効果があるのではないか、というストレッチがYouTubeで1つ紹介されていました。
「寝違え」をインターネットで調べるとたくさん出てくるのが「寝違えの原因は、脇の下を通る神経(=腋窩神経)の圧迫である」というもの。このYouTubeのストレッチも、その腋窩神経の圧迫を解放させるためのストレッチとして紹介されています。
ですが、腋窩神経が支配している主な筋肉は「三角筋」や「小円筋」といった肩や肩甲骨の筋肉であり、首を直接動かす筋肉の神経ではないため、腋窩神経の圧迫が寝違えの一番の原因ではないか?という説は、ちょっと疑問があるかな?というのが僕の意見です。
とはいっても、上に紹介したYouTubeのストレッチは、肩周りのストレッチとしては有効だと思いますので、試してみてもいいと思います。
ストレッチの具体的な例2
もう1つのストレッチの方法を紹介します。
これはPNF(Proprioceptive Neuromuscular Facilitationの略。日本語では固有受容性神経筋促通法と呼ばれる方法です)を利用したもので、Life Hacker日本語版で紹介されていたものを参考にして、ここで紹介します。
- 首の左と右のどちら側の筋肉に痛みがあるのかを確認する
- 頭を中心の位置に持ってくる
- もし首の左側の筋肉が痛い場合は、左のこめかみの部分に左手の指をあてて、頭と指で3〜4秒押し合う (もし首の右側が痛い場合は、右のこめかみに右手の指をあてる)。どちらかに動かすわけではなく、頭も指も動かないように力は均等。力は全力でやるひつようはなく、30〜40%くらいでオッケー。
- ゆっくりと力を抜く
- 押した方とは逆側に頭を傾けて、筋肉を10秒ほどゆっくりストレッチする。痛みの出るちょっと手前で止める。痛みのない範囲でストレッチをすることが大切です。
- (3)〜(5)を5回ほど繰り返す
ストレッチしたい筋肉を、ストレッチをする前に少し使うことで、よりその筋肉がリラックスした状態でストレッチを行うことができます(右の写真は、上の(5)のストレッチです)。
まとめ
僕個人的な意見としては、上で紹介したYouTubeのストレッチよりも、PNFを利用したストレッチの方が、首の筋肉に直接アプローチしているため、寝違えのケアには有効なんじゃないかな、と思います。何度も言いますが、痛みのない範囲でやることが大切です。
もし3〜4日たっても痛みが減らない、もしくは悪化している、といった場合は、病院の整形外科に行って、お医者さんにみてもらいましょう。単なる「寝違え(靭帯・筋肉の炎症)」ではない可能性があります。
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