「自動詞」と「他動詞」って、その言葉は聞いたことがあっても、具体的にそれぞれの違いや使い方って説明できますか?というか、そもそも違いなんて説明できなくても英語は喋れるようになるでしょ、って思いますよね?
ですが、この「自動詞」と「他動詞」の違いと使い方を知ることで、英会話のレベルは一気に上達します。単語を並べてカタコトで喋っていた人が、この自動詞と他動詞の意味を理解すると、正しい語順でちゃんとした「英文」で英語を話すことができるようになります。
なかなか英会話で「文章」を喋ることができずに思いついた単語をただ並べてしまうという人は、この「自動詞」と「他動詞」の使い方を理解して、カタコト英会話から卒業しましょう。
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英語の基本語順は「主語 → 動詞 → 目的語」
英語を話すときは、基本的に「①主語(誰が/何が)」「②動詞(どうした)」「③目的語(何を)」の順番で英単語を並べていきます。この3つの英単語を順番に言うだけで、カタコト英語から、ちゃんとした英文を使った英会話へとレベルが上がるのです。英語は「最初に大事なことを言う」言語なので、最初さえちゃんとすれば、しっかりとした英会話に聞こえるのです。
「目的語(何を)」の後にくるのは全て補足説明。言わなくても文章としては成立しますが、言うとより詳しく状況が伝えられます。以下、例文です。
A)We played soccer this morning. 私たちは / プレイした / サッカーを(今朝)
B)He is stretching his legs on the grass. 彼は / ストレッチしている / 脚を(芝生の上で)
C)John fractured his collarbone last Saturday. ジョンは / 骨折した / 鎖骨を(先週の土曜日に)
英会話では、常にこの基本語順を頭の中で考えながら1つ1つ英単語を並べます。例えばあなたがスポーツチームのトレーナーだとして、コーチに、「先週の土曜日にジョンが鎖骨を骨折してしまった」ということを伝えたいとします。そんなときは、以下のように順を追って正しい語順で言いましょう。
- 誰が? → ジョンが = John
- どうした? → 骨折した = fractured
- 何を? → 鎖骨を = his collarbone
- いつ? → 先週の土曜日に = last Saturday
正しい語順さえ頭に入っていれば、その順番通りに英単語を並べて言っていけば、あなたの英語はちゃんと伝わります(発音の練習も大事ですが)。
動詞の後に「何を?」が違和感なく入るのが「他動詞」
それでは、上にあげた3つの例文の動詞に注目してみます。
A)We played:私たちはプレイした → 何を?= サッカーを(=soccer)
B)He is stretching:彼はストレッチしている → 何を?= 脚を(=his legs)
C)John fractured:ジョンは骨折した → 何を?= 鎖骨を(=his collarbone)
このように、動詞の後に「何を?」と自分で聞いてみて、すんなり「〜を」と答えられる場合は、動詞のすぐ後にその「〜を」に当てはまる名詞や代名詞(=「目的語」と言います)などが入ります。そして、そんな動詞を「他動詞」と言います。上の3つの例文は全て、動詞の後に「何を?」と聞いた時に「〇〇を」というのが違和感なく入ってきますよね。
他動詞を使った英会話が一番基本であり、英語でも一番好まれる形です。この「主語(何が・誰が) → 他動詞(どうした) →目的語(何を)」にそれぞれ単語を当てはめるだけで、ネイティブにもすんなりと受け入れられる英会話ができるようになるのです。
【注意】今回の記事ではかなりシンプルに他動詞をお伝えしているので、もちろん例外がたくさんあります。例えば、他動詞の後「何を?」ではなく「どこに?」がくる場合もあります(例. He reached Hibiya station. 彼は / 到着した / 日比谷駅に)。英会話の基本は「①誰が/何が」「②どうした」「③何を」と覚え、たくさんの英単語や英文に触れていくことで、例外を少しずつ覚えていきましょう。
ちなみに、この「①誰が/何が」「②どうした」「③何を」と言う語順のことを「第3文型(SVO)」と言ったりします。文型は英会話習得においてかなり大切なので、改めて記事に書いて詳しく解説します。
動詞の後に「何を?」と聞くと違和感がある場合
動詞の中には、その後に「何を?」と聞くと違和感があるものがあります。以下、例文です。
a)She comes:彼女は来る → 「何を」来る?
b)I walked:私は歩いた → 「何を」歩いた?
c)My mom goes:私の母は行く →「何を」行く?
「何を来る」「何を歩いた」「何を行く」とは言いませんよね?動詞の後に「何を?」と聞くと、全部違和感があると思います。このように「何を?」と聞くと違和感がある動詞のことを「自動詞」と言います。
自動詞の後には基本的に「何を」を表すものはこないので、「何を」を飛ばして、補足説明に入ります。自動詞の後に補足説明を付け足す場合は、アダプターとして「前置詞」をつけるか、副詞をつけます。
a)She comes to the office by train. 彼女は / 来る(会社に)(電車で)
b)I walked for 3 hours yesterday. 私は / 歩いた(3時間)(昨日)
c)My mom goes to a supermarket near her house every day. 私の母は / 行く(スーパーへ)(家の近くの)(毎日)
自動詞の直後には「何を?」に当たる名詞が入らないため、補足説明をするために「前置詞(to, by, for, nearなど)」を動詞の後に置いて、「いつ?」「どこで?」「どこに?」「どれくらい?」などを付け足していきます。
a)の例文では、彼女が「どこに来るのか?=会社に」「どうやって来るのか?=電車で」といった補足説明を、前置詞をくっつけて付け足していますね。b)では「yesterday:昨日」という「時」を表す副詞をつけて補足説明をしています。
前置詞の使い方を覚えると、英会話は格段にラクになるとともに、詳しい説明がとても簡単にできるようになります。今度前置詞の意味と使い方は、記事にまとめようと思います。
英語の自動詞と他動詞の使い分けを覚える練習問題5問
それでは「英単語並べ替え」問題をやってみましょう(「英単語並べ替え」問題の詳しいやり方は、「英語初心者は『語順』から覚えよ!英語は語順が違うと全然通じない」で解説しています)。動詞の後に何が来るかに注意しながら並べ替えてみてください。
math / take / tomorrow / we / a / test / will
私たちは明日数学のテストを受けます。
her / my / she / with / to / brother / house / came
彼女は弟と一緒に私の家に来た。
on / in / grandmother / park / my / sitting / is / bench / the / the
私のおばあちゃんは公園のベンチに座っている。
Answer / Kyoko / hand / raised / to / the / question / right / her
キョウコは質問に答えるために右手をあげた。
complained / service / about / the / Akira
アキラはそのサービスについて文句を言った。
以下、解答になります。
【第1問】We will take a math test tomorrow.
- 誰が?→ 私たちは = We
- どうした? → 受ける = (will) take
- 「何を」受ける? → 数学のテストを = a math test
- いつ? → 明日 = tomorrow
動詞の後に「何を?」が当てはまるため、前置詞などは置かずにそのまま「何を(=今回の文では『数学のテストを』)」を置きます。
数学のテストを受けるのは「明日=未来」なので、動詞の前に「これは未来の話をですよー」と伝えるために「will」という助動詞を付けます。「助動詞」についても詳しい記事を書こうと思っています。
【第2問】She came to my house with her brother.
- 誰が? → 彼女は = She
- どうした? → 来た = came
- 「何を来た?」とは言わないため、補足説明を付け足す。今回の場合は「どこに?」→ 私の家に = to my house
- 誰と? → 彼女の弟と = with her brother
「come=来る」は基本的に自動詞として使うため、前置詞「to」をアダプターとしてつけて「どこに?」の補足説明を加えています。
【第3問】My grandmother is sitting on the bench in the park.
- 誰が? → 私のおばあちゃんが = My grandmother
- どうした? → 座っている = is sitting
- 「何を座っている?」とは言わないため、補足説明。「〇〇に座る」と言いたい時は「on」を使う → ベンチに = on the bench
- どこのベンチ? → 公園の(公園にある)=in the park
少し長い文章ですが、語順通り順番に言っていけば問題ありませんね。
【第4問】Kyoko raised right hand to answer the question.
- 誰が? → キョウコが = Kyoko
- どうした? → 挙げた = raised
- 何を挙げた? → 右手を = her right hand
- なぜ?何のために? → 質問に答えるために = to answer the question
「to answer the question」に使われている「to」は、前置詞ではなく「不定詞」と呼ばれる用法で使う「to」になります。「なぜ?」「何のために?」を言いたい時は、不定詞を使うととても便利です。不定詞の「to」の使い方については、おいおい解説記事書きます。
【第5問】Akira complained about the service.
- 誰が? → アキラが = Akira
- どうした? →文句を言った = complained
- 「何を文句言った?」と言えるんですが、complainは基本的に自動詞なので、文句を言った内容は「about」をつけて言う → そのサービスについて = about the service
このように、「何を?」と言えるけど、そのままその目的語を動詞の後に付けられない場合もあります。こういった例外は、多くの英文に触れる中で覚えていくしかありません。「こういう場合は、こうなるんだな」というものを増やし、慣れていきましょう。
まとめ
「自動詞」と「他動詞」という2種類の動詞について解説しました。自動詞は、動詞の後に「〜を」が当てはまらず、補足説明を加えるためには前置詞をアダプターとして使うもの。他動詞は、動詞の後に「〜を」をそのまま使うもの、となります。
実際に英会話をするときは、自動詞を使おう!次は他動詞を使おう!とかはもちろん考えません。ですが、正しい語順で英語を喋るために、動詞の後にすぐ「何を?」にあたるものがくるのか、それとも前置詞というアダプターを介して補足説明を加えるのか。そこを見極めて喋れるようになると、英会話がグンと上達します。
動詞には、自動詞としても他動詞としても両方使えるものも多くあり、その使い方によって動詞の意味が変わることも多いです。よって、動詞の後ろにすぐ名詞を置くのか、それとも前置詞を加えるのかは、自分が伝えたいことを正確に伝えるために、とても重要なのです。
たくさんの英文に触れて、少しずつ慣れていただけたらと思います。
月1回、「英語で簡単な運動指導ができるようになる」がテーマの英語勉強会(主催:Golden Age Project)で講師をしています。「英会話」の中でも「運動を教える」に特化した勉強会で、問題演習と実技を通じて英会話をマスターしていきます。もし興味がある方はぜひGolden Age Projectのホームページをご覧いただくか、私に連絡いただけたらと思います(お問い合わせページやツイッターなどを通して気軽に連絡ください)。
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