◯◯ダイエット、△△ダイエットなど、「ダイエット方法(減量法)」は巷にいくつも溢れていますが、一体どれが本当に効果的かわからないですよね?
テレビで放送されたり、SNSで芸能人が発信したりすると、またたく間にそのダイエット方法は流行します。
ですがそれは「その人」が成功しただけであって、あなたにとっても効果的なダイエット方法であるとは限りません。
今回は、2014年にアメリカで発表されたメタアナリシスを参考に、どのようなダイエット方法が実際一番効果的なのかをお伝えします。結論はとてもシンプルでした。
メタアナリシスとは、過去に研究された信頼できる論文を集め、それらを統計的手法によって分析し、結果としてどのような傾向があるかを示したもの。エビデンスレベルが最も高い研究デザインです。
>>今回の参考資料はこちらです。
- Comparison of Weight Loss Among Named Diet Programs in Overweight and Obese Adults – A Meta-analysis
2014年に発表された「過体重・肥満の人が行う有名なダイエットプログラムの減量効果」を比較したメタアナリシスです。 - 一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書/鈴木祐
鈴木祐さんの本もよく読んでいます。信頼できる文献を引用して書かれている本で、今回の参考文献もこちらの本で引用されていたものです。
一番効果的なダイエット方法を検証
今回の参考文献であるメタアナリシスでは、過去に行われたダイエット方法に関するあらゆる研究を調査し、厳選された48個の信頼できる研究を分析して出た結果です。
48個の研究すべてに含まれる被験者の合計は約7300人です。信頼できる数ですね。
メタアナリシスで比較されたのは、以下13種類のダイエット方法 + 何もしない(=コントロール群)でした。
- Atkins
- Zone
- Low Fat
- Ornish
- Moderate Macronutrient
- Biggest Loser
- Volumetrics
- LEARN
- Weight Watchers
- Rosemary Conley
- Slimming World
- Jenny Craig
- Nutrisystem
- No Diet(=コントロール)
アメリカの研究のため、日本人には馴染みのないダイエット方法ばかりなので、私なりにわかりやすく分類してみました。
1)低炭水化物ダイエット(Low-Carbohydrate)
日本では「ローカーボ・ダイエット」や「低糖質ダイエット」「糖質カット/糖質制限」などと呼ばれる、炭水化物の摂取量を減らすダイエット方法がいくつかメタアナリシスには含まれていました。
アメリカ人医師ロバート・アトキンスが提唱した食事療法「アトキンス・ダイエット(Atkins)」は、炭水化物の1日の摂取量を「20g」に抑え、その代わりにたんぱく質と脂質の摂取量を増やすダイエット方法。
「ゾーン・ダイエット(Zone)」は、1日の摂取カロリーを「炭水化物:たんぱく質:脂質=40%:30%:30%」のバランスで食べるダイエット方法。
アトキンスほど低炭水化物ではないですが、標準よりは少なめですね。
2)低脂質ダイエット(Low-Fat)
脂質の量を制限する「低脂質ダイエット」は、低炭水化物ダイエットと並んでよく行われるダイエット方法の一種ですね。
1990年代にディーン・オーニッシュ医学博士が考案した「オーニッシュ・ダイエット(Ornish)」がメタアナリシスには含まれました。
オーニッシュ・ダイエットは、1日の総摂取カロリーのうち脂質を10%以下に抑える(代わりに炭水化物の割合を増やす)ダイエット方法です。
3)バランス型ダイエット(Moderate Macronutrient)
上記2つのように、どれかの栄養素を極端に減らすわけではなく、バランス良く食べましょうというダイエット方法もいくつか含まれています。
アメリカのテレビで大流行したダイエット番組「Biggest Loser」で使われたダイエット法は「4:3:2:1ピラミッド」と呼ばれるものを使用したそうです。
方法は、1日の総摂取カロリーを「4=野菜・フルーツ」「3=たんぱく質」「2=全粒粉(精製されていない炭水化物)」「1=何でもOK(エクストラ)」で構成するというものでした。
「Vomumetrics」と呼ばれるダイエット方法は、野菜やフルーツ、精製されていない炭水化物(全粒粉)や低脂肪食など「栄養価が高く、低カロリーの食材」を選んで食べるというものです。
「LEARN」と呼ばれるダイエット方法は「Lifestyle, Exercise, Attitudes, Relationships, and Nutrition」の頭文字をとったもので、食事のコントロールに加えて、普段の日常生活の改善にもフォーカスを当てたダイエット法です。
4)減量支援企業が提供するダイエットプログラム
世界的に「Big 3(ビッグスリー)」とも言われている、減量を支援する3つの会社「Weight Watchers」「Rosemary Conley」「Slimming World」による減量サービスが、今回のメタアナリシスには含まれていました。
プラス、ビッグスリーには含まれていませんが「Jenny Craig」と「Nutrisystem」も、それぞれの企業が持つ独自のダイエット方法をメンバーに提供するというものです。
それぞれの企業で様々なプランが用意されていますが、基本的には「食事の提供」「アプリによる運動プログラムの提供」「コーチによるオンラインアドバイス」などのサービスが、月々お金を支払うことで得られます。
【結論】どのダイエット方法でも一緒
メタアナリシスの結論は「プログラムによって多少の効果の違いはあるものの、その違いはとても小さく、どのダイエット方法を使用しても減量は可能である」でした。
つまり、どれ使っても変わらんよということ。ここまできてこの結論はひどい結論に見えますね。笑
ですが、これは減量における「本質」を表していると私は考えます。
1番効果的なダイエット方法は「カロリーの差」を作り出すこと
「ダイエットをする!」となると、上記したように〇〇ダイエットや△△ダイエットなど、どのダイエット法をやろうかな?ということになる人が多いのですが、どのダイエット法を使おうが、摂取カロリーと消費カロリーを比較したときに摂取カロリーのほうが少なければ、体重は必ず減ります。
これが「ダイエット=体重を減らす」ことの本質です。
今回のメタアナリシスでは、まさにこのことを表しています。
つまり、炭水化物の食べる量を減らして摂取カロリーを抑えようが、脂質の食べる量を減らして摂取カロリーを抑えようが、栄養バランスを意識しながらすべての食べる量を少しずつ減らして摂取カロリーを抑えようが、どの方法でやろうが、摂取カロリーが消費カロリーよりも少なければ痩せるのです。
「体重を減らす」ことに対して、難しく考える必要はありません。これだけです。
自分に合った無理のないダイエット方法を選ぶ
メタアナリシスに示された結論は以下の3つです。
- ダイエット方法によって多少の減量効果の違いはあるが、その差は小さく、どれを選んでも減量することは可能である
- 「日常生活の改善」と「運動」は、減量を効果的に促進する
- 大切なのは、その人がそのダイエット法を長期間継続すること
特に大切なのは、一番最後の「長期間継続する」というものです。
どのダイエット方法を使用しても、摂取カロリーのコントロールさえできれば減量はできます。
ですが、体重が減り、その体重を維持するため(=リバウンドしないため)には、そのダイエット方法を使用した生活を、長期間継続することがとても大切です。
Aさんにとっては「ご飯の量を減らす(=低炭水化物ダイエット)」がしっくりきて、我慢や無理をせずに長期間続けることができるかもしれませんが、Bさんにとってはご飯を食べないとお腹が空いてしまってしょうがない、ということはよくあります。
それは、Bさんの減量の意思が弱いのではなく、単にその人に合っていないだけ。低炭水化物ダイエットが合わないなら、低脂質ダイエットを試してみたり、バランス型にしてみたりと、色々と試してみればいいのです。
まとめ
ダイエットを成功させたい、体重を減らしたい、という方に覚えておいて欲しいことは以下の4つです。
- 1日の食事量をコントロールして「摂取カロリー<消費カロリー」を作り出す
- 食欲を我慢しなければならないような厳しい食生活にはしない
- 長期間(目安は1年間)、無理なく継続できる食生活にする
- 日常生活の改善と運動を加えるとさらに良い
特に大切なのは1と2です。
しっかりとカロリーをコントロールできれば、そのコントロールをする方法は「炭水化物を減らす」でも「脂質を減らす」でも良いのです。ただ、極端にどれかの栄養素をカットすることだけはやめましょう。
そして「その食生活を1年間継続する」ことがとても大切です。
ダイエットは数週間、数ヶ月だけ頑張るものではなく、摂取カロリー過多にならない食生活を自分のライフスタイルにする、というものです。
そんなに頑張らなくてもできるくらいのことを長く続けて、摂取カロリーがちょっとだけ少ない状態を続けて「体重が少しづつ減る生活」「太らない生活」を作り出すことで、リバウンドをしない減量を達成することができます。
減量に魔法はありません。飲むだけでやせるサプリとか、これだけ食べてれば痩せる食品とか、ありません。
一時の流行りに惑わされず、本質を忘れず、しっかり自分の生活を見直して、減量を達成して下さい。
Comments are closed.