BMIって知ってますか?これはBody Mass Indexの頭文字をとったもので、肥満度を表す指標として国際的に用いられている「体格指数」のことです。
日本でも、厚生労働省によって、「肥満度」を測る指標としてBMIを使いましょうと言っています。では、なぜ肥満度を測る必要があるのかと言うと、「肥満」は健康にとって良くないからです。
BMIの数値がある一定の数値を越えると、様々な健康障害になるリスクが突然高くなることが、多くの研究によって明らかになっています。
今回は、あなたが肥満症であるかどうかをチェックするとともに、肥満がどんな健康リスクを引き起こすのかについて解説していきます。
>>参考文献はこちらです。
「National Athletic Trainer’s Association Position Statement: Safe Weight Loss and Maintenance Practices in Sport and Exercise」
NATAが出している、どのように安全に体重を減量・維持するかをまとめたPosition Statementです。
「Appropriate Physical Activity Intervention Strategies for Weight Loss and Prevention of Weight Regain for Adults」
American College of Sports Medicineが出している、体重減量・増量についてのステイトメントです。
「肥満症診療ガイドライン2016|日本肥満学会」
日本肥満学会が2016年に作成したガイドラインです。引用文献が非常に多く、信頼できる本だと思います。
「Can we use the Jackson and Pollock equations to predict body density/fat of obese individuals in the 21st century?」
ジャクソン・ポロック法と呼ばれる体脂肪率の測定法に関する研究論文です。
BMIを計算して肥満かどうかをチェックする
それではまず、あなたのBMI値を知るために、BMIの計算方法から紹介します。BMIは電卓を使えば簡単に計算できます。
BMI = 体重 [kg] ÷(身長 [m] × 身長 [m])
例えば、あなたの身長が168cm、75kgだとします。体重の単位はkg(キログラム)で良いので、75のまま。身長は単位をm(メートル)にしなければいけないので、168cm = 1.68m となります。よってこの人のBMIは【75 ÷(1.68 × 1.68)=26.57…】となります。
BMIによる肥満の分類
自分のBMIがわかったら、あなたの肥満度が分かります。以下の表を見て、あなたのBMIがどこに当てはまるかをチェックしてみましょう。
BMI | 肥満度の分類 |
---|---|
〜18.4 | 低体重 |
18.5〜24.9 | 普通体重 |
25〜29.9 | 肥満レベル1 |
30〜34.9 | 肥満レベル2 |
35〜39.9 | 肥満レベル3 |
40〜 | 肥満レベル4 |
BMIによる分類では、BMI=18.5〜24.9の範囲にあるのが、あなたの身長の普通体重ということになります。ですが、この範囲内でも「BMI=22」となる体重が、最も病気や健康障害になるリスクが少ないことが研究によって明らかになっており、BMI=22になる体重を「理想体重(標準体重)」と言います。
「理想体重」は、以下の式によって求めることができます。
理想体重(標準体重)= 身長 [m] × 身長 [m] × 22
BMIが25以上だと、あなたは「肥満」という分類に入ることになります。BMIが35以上(肥満レベル3&4)の人は「高度肥満」と分類されます。
BMIと肥満と体脂肪率の関係
自分が肥満なのかどうかがわかったところで、そもそも肥満とはどういう状態のことを言うのでしょうか?肥満症診療ガイドライン2016では、肥満をこう定義しています。
脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、BMIが25以上のもの
BMIによる肥満の分類を上でお伝えしましたが、実際のところは、BMIの数値だけでは本当に肥満かどうかを判定することはできません。なぜかと言えば、BMIは「身長と体重のみ」で計算された数値であり、どれくらいの脂肪をその人が持っているかは、BMIだけでは判断できないのです。
BMI25以上でも、脂肪が蓄積していなければ肥満ではない
肥満の定義から考えると、以下の2つの条件が揃って初めて「肥満」と分類されることになります。
- 脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態
- BMIが25以上
BMIが25以上かどうかは計算すれば分かりますが、脂肪が「過剰に」蓄積しているかどうかは、どの程度が「過剰」と判断されるかがわからないと難しいですね。そこで、脂肪がどれくらい蓄積しているかどうかを判断する方法が「体脂肪率」と「ウエスト周囲長」です。
1)体脂肪率による肥満度の測定
体脂肪率の計算方法や基準も様々なのですが、今回は私の職場で利用している「ジャクソン・ポロック法」を使って、体脂肪率と肥満度の関係をみていきます。
まずは男性から。
まずは左の「年齢」をみて、自分が当てはまる列を確認しましょう。そして、水色で示された体脂肪率は「やせ」として分類されます。続いて、黄色が「理想」の範囲。オレンジが「標準」で、赤が「肥満」に分類される体脂肪率となります。
次は女性です。
もしあなたのBMIが25以上で、かつ体脂肪率がこの表で「肥満」に当てはまる場合は、あなたは肥満に分類されるでしょう。
2)ウエスト周囲長の測定
脂肪の蓄積を推測するもう1つの方法が、ウエストの周径囲を測定することです。ウエストの周径囲が大きければ大きいほど「内臓脂肪」の過剰な蓄積が疑われます。
ウエスト周径囲の測定方法は以下の通りです。
- 両足を揃えて立つ
- 腕はリラックスした状態で、身体の横にダランと下げる
- お腹に力を入れない
- 測定位置は「へその高さ」で行う
- 自然に呼吸をした状態で、少し息を吐いた時に計測する
男性は「85cm」、女性は「90cm」が基準となります。ウエスト周径囲がこれ以上の数値の場合、内臓脂肪が蓄積していることが推測されます。
計測する人は、メジャーがへその高さで水平になっていることと、メジャーを強く巻きすぎてお腹に食い込んでいないことを確認しましょう。また、食事の後の測定では正確な値ではありません。空腹時に計測しましょう。
肥満が引き起こす健康障害
もしあなたが肥満に分類された場合、以下にあげた健康障害になってしまうリスクが高くなります。
- 耐糖能障害(糖尿病)
- 脂質異常症
- 高血圧
- 高尿酸血症状(痛風)
- 心筋梗塞・冠動脈疾患・狭心症
- 脳梗塞・脳血栓症
- 月経異常・不妊
- 睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
- 運動器疾患(変形性膝関節症・変形性股関節症など)
- 肥満関連の腎臓病
漢字ばかりですね。笑 脅しているわけではなく、肥満というのはこんなにも多くの健康障害になってしまうリスクを上げます。
BMI35以上の高度肥満に分類される人は、リストに挙げたものに加えて、心不全や呼吸不全、静脈血栓などになってしまうリスクを高くします。
「糖尿病」に関しては「糖尿病チェック10項目|8項目当てはまったらあなたは糖質中毒かも」をまずお読みください。「高血圧」に関しては「高血圧改善には有酸素運動がベター|高血圧の人は運動を始めよう」で血圧の基礎知識を解説しています。
肥満による健康障害は「減量」で解決する
上記した健康障害は、体重を減らすことで予防できる(または進展を止めることができる)ことがわかっています。よって、もしBMIの数値や体脂肪率で肥満に分類された方や、ウエスト周径囲で内臓脂肪の蓄積が疑われた方は、ぜひ減量に取り組みましょう。
「肥満」と「メタボ」はまた判定基準が違いますが、減量を始めるという方はぜひ「メタボは食事で治す|目標摂取カロリーの決め方と4つの食事ルール」の記事を読んでいただき、食生活から見直していただくと良いと思います。基本的なことをちょっと意識して食事をするだけで、体重数キロはすぐに減ります。
まとめ
BMIの計算の仕方、肥満度の分類、肥満と深く関係する体脂肪率とウエスト周径囲について、そして肥満が引き起こす健康障害について解説してきました。
肥満は、様々な健康障害のリスクを高めます。まずは自分の肥満度を知るところから始めて、もし肥満に分類される場合は、体重を減らしていく計画を立てていきましょう。
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