あなたは「時間栄養学」というものを聞いたことはありますか? 私も最近まで聞いたことがありませんでした。私が知ったのは、メンタリストのDaigoさんの本「最高のパフォーマンスを実現する超健康法」を読んでです。すごく面白くてタメになる内容で、自分の仕事や生活で早速生かしています。オススメです。

さて、この本を読み終えてからもずっと「時間栄養学」が気になっていて、調べよう調べようと思っていたところ、コンビニで見つけたTarzanのタイトルが、なんと「その食習慣がデブの元!太る理由。いつ、何を、どう食べるか。”時間栄養学”で解決!」でした。なんてタイミングなんだ!勉強しろということか!と思い、購入して、読みました。笑

面白い内容だなと思ったので、時間栄養学についてサクッとまとめてみました。


>>今回の参考資料はこちらです。

chrono-nutrition-review-coverChrono-nutrition: a review of current evidence from observational studies on global trends in time-of-day of energy intake and its association with obesity
Almoosawiらによる、2016年に発表された「食事をする時間と肥満の関係」についてのレビューです。

tarzan-reason-to-be-obese-coverTarzan 2019年11月28日号 太る理由。いつ、何を、どう食べるか。”時間栄養学” で解決!
面白そうなテーマの時は買っているTarzan。今回は「時間栄養学」という表紙の文字を見て、中身を見ずにすぐに買いました。笑

daigo-health-method-cover最高のパフォーマンスを実現する超健康法
Daigoさんの本は色々読んでいます。この本は自分の仕事に直結するものだったので、こちらも即買いです。期待通り、勉強になることばかりでした。

時間栄養学とは?

時間栄養学とは「体内時計を考慮に入れた栄養学」のこと。具体例を挙げると「同じものを食べて同じ栄養素を摂取しても、時間によってその栄養効果は変化する」だったり、「食べるものによって体内時計が進んだり、止まったり、リセットされたりする」といった内容を研究する学問のようです。めちゃくちゃ興味深いですね。

Daigoさんの本には、時間栄養学について「人間の体には『時計遺伝子』というものがあり、この遺伝子が体の反応や作用など色々なものを決めているのではないか、という考えに基づいて生まれた学問」と書いてあります。

時間栄養学によると「病気になりやすい時間、症状が起こりやすい時間」が決まっているため、それに基づいて時間に合わせて薬を飲む量を調整する(ある時間では増やして、ある時間では減らす)ことで、体に優しい効率的な治療ができる、と考えられているようです(今回の記事では薬の話は出てきません)。

時間栄養学のキーポイントは「体内時計」

Brain-suprachiasmatic-nucleus

以前書いた「時差ボケ対策まとめ|異国で快適に過ごすために渡航前にすべきこと」の記事でも解説しましたが、体内時計(概日リズム / サーカディアンリズム)とは「約24時間周期で変動する生理機能」のこと。この体内時計によって、人は朝になると目が覚めて(=覚醒)、だんだんと体温が上がって活動の準備を始め、夜になると体温が下がって、眠くなって、睡眠をとります。

ヒトがまだ狩りをして生活をしていた頃は、もちろん目覚まし時計はなく、日が昇って明るくなったら目覚め、日中は狩りをして生きるための食料を手に入れ、暗くなったら家族の元へ戻り、一緒にご飯を食べて寝る。体内時計と生活リズムは完全に一致していました。

しかし現代は「電気」のおかげで、夜でも明るい場所で仕事ができます。日中特に活動をせず家にいても食べ物に困らない時代です。体内時計が刻むリズムとは関係のない生活をしている人がたくさんいます。結果、昔に比べて「肥満」は増え、「病気」にもかかりやすくなった、と言われています。

体内時計は2種類ある

時計遺伝子は全身の細胞にありますが、メインの時計(=主時計)は脳の「視交叉上核(しこうさじょうかく)」という場所にあります。厄介なことに、脳にあるメインの体内時計と、他の全身にあるサブの時計(=末梢時計)は、すべて微妙にズレてバラバラに時を刻んでいるとのこと。時計なんだから、すべて同じように時間を刻んで欲しいものですよね。

ですが、メインの脳にある体内時計ですらきっちり24時間を刻んでいるわけではなく、24時間30分くらいを刻んでいると言われています。メインがズレているので、サブもズレるのです。

2種類の体内時計を調整するのが「朝の太陽の光」と「朝食」

breakfast-for-chrono-nutrition

脳にあるメインの体内時計をリセットしてちゃんとした時間に合わせてくれるのが「朝に浴びる太陽の光」です。太陽の光が「目(網膜)」を通して視交叉上核に届くと、少しズレていた時計がリセットされ、「おぉ!朝か!活動を始める時間か!」となります。

太陽の光がリセットできる体内時計は、脳にある主時計のみ。全身のサブの時計は、太陽の光を浴びてもリセットされません。脳以外の全身にある末梢時計をリセットするのは「朝食」です。「朝食=1日の活動の開始時刻」と体は認識するようです。朝食を食べて、食物が消化器官に入り、消化活動を始めることで、全身の細胞は「おぉ!朝か!活動始めるか!」となります。

時間栄養学に基づく1日の食事のポイント

それでは、時間栄養学をベースに考えた時の、1日高いパフォーマンスを発揮して活動でき、しかも太りにくい1日の理想の食事パターンをお伝えします。

1)朝食は抜かない

時間栄養学で最も大切だと言われているのが「朝食」です。朝起きたらカーテンを開け(もしくは外に出て)、太陽の光を浴びてメインの体内時計をリセットしたら、2時間以内に朝食を食べてサブの体内時計もリセットしましょう。

朝食を抜いて、1日の最初の食事がランチになってしまうと、メインとサブの体内時計がズレて「体内時差ボケ」が起こります。これが、日中なのに頭がボーッとしたり、変な時間にお腹が空いてしまったり、夜なのに目が冴えて眠れない、などといったことを引き起こします。

2)朝食では「炭水化物」と「たんぱく質」を食べる

先程、朝食を食べることで末梢時計をリセットすることができると言いましたが、食べれば何でも良いというわけではありません。しっかり体内時計を正常に戻すには、朝「炭水化物」と「たんぱく質」を摂取することが大切です。

炭水化物というと、ご飯、パン、シリアル、イモ類などなど。たんぱく質はというと、肉、魚、卵、豆類、乳製品、などなどですかね。コンビニでも充分に揃います。僕も最近は週1回はコンビニで朝ごはんを買いますが、よく買うのは「海鮮巻」「ゆで卵」「ヨーグルト(オイコス)」あたりです(あとコーヒー)(これからは肉まんの季節)。

炭水化物を摂取することで分泌される「インスリン」と、たんぱく質を摂取することで分泌される「IGF−1」が、末梢時計を正常に動かしてくれます。どうせ食べるなら、体のパフォーマンスを調えアップさせてくれるものを食べましょう。

3)たんぱく質はすべての食事で「均等に」摂取する

糖質制限/糖質カットの食事スタイルが流行し、肉(たんぱく質)ならいくら食べてもいい!と言ってバクバクと肉ばかり食べている方がいますが、炭水化物だろうがたんぱく質だろうが「1g=4kcal」のため、摂取カロリーが増えれば体重は増えます。しかも「炭水化物はほとんど摂らずにたんぱく質を大量に摂る」というようなことによって栄養素のバランスが偏ると、足りない分は身体に蓄えようとするため、代謝は悪くなって、太りやすい体になってしまいます。

たんぱく質を意識して摂取するのはとても大切です。が、1日3食なら、3食それぞれで食べるたんぱく質の量は均等にしましょう。体内時計によって、夜は体も休息の準備に入るため、内臓の活動はゆっくりになります。たんぱく質は消化に時間がかかるため、寝る前の大量のたんぱく質摂取は内蔵(特に腎臓)に過度な負荷をかけます。

Almoosawiらのレビューには「1日で摂るカロリーは1食だけに偏らないように、3食なら3等分になるように、できるだけ分散させたほうが、心臓や内蔵、血管に与える負荷は低くなる」と示されています。たんぱく質に限らず、他の栄養素も1食1食でしっかり摂りましょう。

4)夜ご飯は食べすぎない

時間栄養学では、夜は体内時計の働きによって「体脂肪がエネルギーになる」時間と考えられています。つまり、夜ご飯でエネルギーを日中ほど多く摂取しなくても、自分の体に蓄えている脂肪を使って活動ができるということ。逆に考えると、夜ご飯を食べすぎると、蓄えている体脂肪はエネルギーとして使われず、消費できなかったエネルギーは脂肪として蓄えられます。

Almoosawiらはレビューの中で「夕食でのカロリー摂取の増加は、肥満になる大きな危険因子の1つである」と結論づけています。夕食は腹八分目が良さそうです。

5)夕食は「朝食から12時間後」までに食べる

時間栄養学では「1日の最初に食べるご飯から1日の最後に食べるご飯までの時間が長すぎると体内時計が乱れる」と考えられています。また、過食になりやすいといも言われているようです。

理想は「10時間以内」のようですが、「12時間以内」を心掛けると、脂肪を蓄えづらくなったり、体調が上向きになる可能性があります。

6)朝食から12時間以内に夕食が無理なら「分食」を取り入れる

仕事があるから朝食から12時間以内に夕食を食べるなんて無理!という方は多いと思います。そんな場合は「夕食を2回に分ける=分食」ができるとベターです。

時間栄養学的に考えると、夜遅くに「糖質」を摂取すると体内時計が乱れてしまうと考えられています。よって、夕食を2回に分ける場合は、1回目に糖質をメインにプラスでたんぱく質を食べて、2回目は野菜メイン+少々たんぱく質、という食事にできると良いようです。

まとめ

時間栄養学を考えた1日の理想の食事プランをまとめると、以下のとおりです。

  • 朝食と昼食はしっかり食べ、夕食は軽めに
  • 朝食から夕食までは「12時間以内」におさめる
  • 12時間以内におさまらないなら夕食を2回に分ける
  • 朝食は「炭水化物」と「たんぱく質」を食べる
  • たんぱく質はすべての食事で均等に
  • 夜食べすぎない

「体内時計に合わせて、食べるべき時間に、食べるべきモノを食べる」ことで、スムーズに栄養を吸収して消化してくれる。あくまでも考え方の1つではありますが、知っておいても良いのではないかなと思います。

何か1つでも、みなさんの参考になれば幸いです。

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