「糖尿病」ってどんな病気かご存知でしょうか?よく言葉は聞くけど、具体的にどんな病気かわからないという人は多いかと思います。
糖尿病は生活習慣病の1つ。つまり、突然なるようなものではなく、生活習慣の乱れ(運動・食事・ライフスタイルなど)によって、少しずつ予備軍になり、やがて糖尿病になってしまいます。
今回は、あなたが糖尿病になってしまうリスクが高いかどうかを簡単にチェックできる10項目を紹介します。8項目以上当てはまったら、あなたは糖質中毒の可能性があり、そのままの生活を続けていると糖尿病になるリスクが高いと言えます。
>>参考文献はこちら。
「Management of the Athlete with Type 1 Diabetes Mellitus | National Athletic Trainers’ Association Position Statement」 米国アスレティックトレーナー協会から出されている、1型糖尿病を持つアスリートのケアや管理についてまとめられた、ポジションステイトメントです。
「糖尿病|厚生労働省」
糖尿病に関する情報は、厚生労働省のサイトからも手に入れることができます。厚生労働省のサイトでは、糖尿病の他にも様々な情報が提供されているので、よく参考にしています。
「医者が教える食事術 最強の教科書|20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68」 【追記:11/30/2017】この本を参考に、記事にいくつか項目を追加しました。「血糖値」に関することが多く述べられています。
糖尿病チェック10項目
それでは早速、あなたが糖尿病になるリスクが高いかどうかをチェックする10項目を紹介します。それぞれの項目にマルかバツで答えてみてください。(参考資料:医者が教える食事術 最強の教科書|20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68」)
1 | 全然満腹にならない/満腹を感じない |
2 | 朝食をしっかり食べたにも関わらず、ランチの時間の前にはもうお腹が空いている |
3 | ランチを食べた後、何となく疲れを感じる/空腹感がずっとある |
4 | お腹が空いている訳ではないのに、夜何か食べたくなる |
5 | どうしても夜食を食べたくなる |
6 | 甘いものやファストフードなどを食べ始めると止まらない |
7 | お腹はいっぱいなのに食べ続けてしまう |
8 | 食べ物をみたり、匂いを嗅ぐと、無性に何か食べたくなる |
9 | 食べ過ぎたなーと感じた時、体がだるい |
10 | ダイエットしたことがあり、その後リバウンドしてしまった |
さて、何個マルがあったでしょうか?もし8個以上マルがついた場合、あなたはかなりの「糖質中毒」と言えるだろう、と参考資料にはありました。これはつまり、この10項目でマルが多ければ多いほど、普段から糖質を必要以上にたくさん食べている可能性が高いということを表し、結果糖尿病になってしまうリスクが高い、ということが言えます。
糖尿病の症状もチェックしておこう
糖尿病チェック10項目をやってみて、比較的マルが多かった方は、私はもしかしてもう糖尿病なのかも。。。と不安に感じた方もいるかもしれません。糖尿病になると、以下のような症状が現れます。
- 頻尿(頻繁におしっこが出る)
- 常にのどが乾いている
- 常にお腹が空いている(食事中でも)
- 常に疲れている
- 目・視界がかすむ
- キズやあざがなかなか治らない
- 食事をしっかり食べているのに体重が減る(=1型糖尿病の症状)
- 手・足がしびれる or 感覚がない(=2型糖尿病の症状)
ここに挙げたような症状が複数ある場合は、すぐに病院に行って検査を受けましょう。糖尿病であるかどうかは、専門医に血液検査をしてもらうことで確実にわかります。厚生労働省が平成19年に行った国民健康・栄養調査によれば、糖尿病が疑われる人の約40%は、自分が糖尿病だと気づいていなかったり、治療を全く受けていないそうです。治療をはじめるのが遅れてしまうと、以下で紹介する合併症になるリスクも上がってしまいます。少しでも気になったらすぐ病院で検査ですよ。
血糖値測定器によるチェック
上で紹介した「糖尿病チェック10項目」は、あくまであなたの普段の糖質摂取の程度をチェックするリストなので、実際に糖尿病かどうかを判断するものではありません。よって、より詳しく自分の血糖値の状態を知りたい場合や、自分が糖尿病なのかどうかを知りたい場合は、専門医による検査を受けるのが必須です。
ですが、そこまでではないけどちょっと調べるのには興味があるな、という方は「血糖値測定器」を使うことで、自宅で血糖値を測ることができます(Amazonなどで測定キットが売っています)。
何度も言いますが、ちゃんと知りたい場合は病院で検査を受けましょう。もし自宅で測定器を使ってチェックする場合は、まず「測定のタイミング」に気をつけること。そして「測定結果の数値」を見てみます。
- 朝食前、もしくは食事をとってから4時間以上後の、空腹時の血糖値が60~100mg/dLなら正常
- 食事をとってから2時間後の血糖値が140mg/dL以下なら正常
この数値の範囲外の血糖値が出たら、普段身体が血糖値のコントロールをでうまくきていないということを表します。病院に行ってちゃんと検査を受けましょう。糖尿病の可能性があります。
糖尿病に関する基本知識
それではここで、そもそも糖尿病ってどんな病気なのでしょうか?また、ここまでよく出てくる「血糖値」って何なのか、最低限知っておくべき知識をここから解説します。
糖尿病とは?血糖値とは?
糖尿病とは「血糖値が高くなる病気」のことを言います。それでは、血糖値とは何でしょうか?
ごはん・パン・じゃがいもなどの糖質を含むものを食べたり、清涼飲料水などの糖質を含む水分を摂ると、身体の中で、小腸という場所で分解されて「ブドウ糖(=グルコース)」ができます。このブドウ糖が、血液によって様々な筋肉や脳・臓器の細胞に運ばれて、エネルギーとして私たちが活動するために使われます。エネルギーがないと、脳は働かなくなって眠くなったり、集中できなくなったり、筋肉も思うように動かなくなって疲れてしまいます。
血糖値というのは、「食事で摂取した糖質が分解されてできたブドウ糖が、血液にどれくらい含まれているのかを示す値」のことです。
では、なぜ血糖値が高くなるとダメなのでしょうか?エネルギーがないと脳や筋肉がうまく活動できなくなるのなら、エネルギーがたくさんあったほうが良いようにも感じます。
糖尿病の人は、糖質を摂取して、小腸でブドウ糖に分解されるところまでは、糖尿病じゃない人と変わりません。ですが、糖尿病になってしまうと、分解されてできたブドウ糖が、脳や筋肉の細胞にうまく運ばれずに、血液の中にとどまってしまいます。エネルギーとして使われないブドウ糖がどんどん血液にたまってしまうため、どんどん血糖値が上がってしまうのです。
血糖値は、上がりすぎても下がりすぎても良くありません。血糖値の上がりすぎは、最悪の場合意識を失ってしまい、命の危険にさらされます。よって、血糖値が上がりすぎず、下がりすぎず、なるべく一定に保つことが大切なのですが、その血糖値のコントロールを身体で行なっているのが「インスリン」と呼ばれるホルモンです。
インスリンとは?
インスリンは、血液中のブドウ糖を脳や筋肉に運んでエネルギーに変える役割を果たすホルモンです。体の中で唯一、血糖値を下げる働きを持つホルモンで、膵臓(すい臓)でつくられます。食事で大量の糖質をとった後、必要な細胞にブドウ糖を運んでエネルギーに変えたり、ブドウ糖をグリコーゲンや脂肪の形に変えてエネルギーが必要なときに使えるように蓄えたりと、血糖値が上がりすぎないように調節してくれるのがインスリンです。
糖尿病になってしまうと、すい臓が血糖値を下げるために必要な量のインスリンをつくることができなくなってしまったり、血糖値を下げたいタイミングですい臓がうまくインスリンを作り出すことができなくなってしまいます。結果、ブドウ糖を脳・筋肉などの必要な細胞に運んでくれなかったり、グリコーゲンや脂肪の形に変えることができずにブドウ糖のまま血液中に放置したりして、血糖値の調整をしてくれない(できない)のです。
すぐにケアをして血糖値を正常な値に戻さずに、血糖値が上がったままの状態が続くと、様々な臓器(特に血管・神経・目・腎臓・心臓)の損傷や機能不全につながってしまうリスクがあります。この、糖尿病を放置しておくとなってしまう代表的な糖尿病の合併症は「糖尿病3大合併症」と呼ばれています。
糖尿病3大合併症とは?
糖尿病になってしまうことで一番怖いのがこの合併症です。これらになることを防ぐために、糖尿病になることを防ぐのです。簡単にですが、代表的な糖尿病による合併症を3つ紹介します。
1)糖尿病神経障害
手・足がしびれてきたり、感覚がなくなってしまって、ケガややけどに気がつかなくなる末梢神経障害が最初に出てきます。更に進行すると、筋力の低下や立ちくらみ、異常な発汗などの自律神経障害に発展します。
2)糖尿病網膜症
目にある網膜という部分の血管が損傷し、視力が悪くなっていき、最悪の場合は失明にいたります。
3)糖尿病腎症
腎臓の働きが悪くなって、体内でおしっこをつくることができなくなります。すると、人工透析をして、機械でおしっこをつくって排出しなくてはいけなくなります。週2〜3回は病院に通うことになるため、日常生活に大きな影響を与えます。
糖尿病にならないために
それでは、糖尿病にならないように予防したい場合、何をすれば良いのでしょうか。以下にいくつか予防の方法を挙げてみます。
- 定期的な運動
- 糖質の摂取を控える
- 健康的な体重を保つ
- 血液検査を受けて、糖尿病かどうかチェックする(早期発見がとても大事)
- タバコをやめる(合併症を防ぐため)
やはり「運動」と「食事」が肝になります。最初に紹介した糖尿病チェック10項目でマルが多かった人は、まずは糖質の摂取を減らすことから始めましょう。また、定期的に運動をすることで消費エネルギーが増えるため、インスリンをたくさん使わなくても血糖値のコントロールができるようになります。
糖尿病の予防のための運動方法については、「糖尿病予防には運動です|具体的な運動内容をプロトレーナーが解説」の記事で詳しく解説しています。ぜひこちらもお読みください。
まとめ
どんな病気や怪我もそうですが、なる前に予防できるのが一番です。糖尿病の予防に関して言えば、別に特別なことをする必要はありません。定期的な運動や食事のコントロールは、糖尿病に限らず様々な健康障害を予防しますし、健康的な生活を送るためには必要不可欠なものですね。
まずは糖尿病チェック10項目をやってみて、あなたやあなたの周りの人の糖質中毒レベルをチェックをしてみてください。
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