花粉症に苦しめられている人は多いですよね。僕もそんな中の1人です。花粉症のせいで「春がキライ」という人もよく聞きます。
花粉症は生死に関わるような病気ではないですが、鼻水は止まらず、くしゃみも頻繁に出るし、目はかゆいし、だから仕事になんか集中できず、頭はボーッとして、もう何もしたくない。。と、生活の質を著しく下げます。
今回は、そんな花粉症に苦しめられる方のために、今日からできる、花粉症の症状を少しでも軽くするためにできることをお伝えします。
1つ1つはどれも簡単なことです。特別なことを紹介するわけではないので、実際にもうやっている、という方も多いかもしれません。
ですが今回は、信頼できる資料を元に「本当に効果のある花粉症の症状を軽くする方法」を紹介します。
小さいことを積み重ねることで、あなたの生活の質はちゃんと上がります。ぜひお試しください。
>>今回の参考資料は以下の通りです。
「花粉症環境保健マニュアル2019|環境省」
環境省作成の、花粉症についての科学的知見や関連情報を紹介するマニュアルです。2014年版の改訂版です。
「花粉症一口メモ|東京都健康安全研究センター」
花粉症環境保険マニュアルとかぶる内容も多いですが、花粉症についてわかりやすくまとめられています。
「Newton別冊『体と病気の科学知識 新装版』」
2019年6月発行のNewton別冊です。「アレルギー」について約30ページに渡って解説されています。すごく勉強になります。
花粉症は「アレルギー」の一種
アレルギーとは「本来は身体に悪影響を与えないとされるモノに対して、身体が過剰に抵抗し、免疫反応が起きる」ことを言います。
そばアレルギー、卵アレルギー、ネコアレルギーなど、様々な〇〇アレルギーがありますが、花粉もその1つです。つまり花粉症とは「花粉アレルギー」とも言えます。
そばも、卵も、ネコも、普通は身体に影響を与えるようなものではないですよね? 花粉も、それ自体が身体に悪影響を与えるものではないのですが、そんなモノに過剰に反応して免疫反応が起きてしまうことで、鼻水が出たり、目がかゆくなったりといった「アレルギー症状」が現れます。
「免疫反応」には2種類ある
私たちの身体は「異物(細菌・ウイルス・アレルゲンなど)」が体内に侵入してくると、「白血球」が活動を始めます。白血球は、体内に侵入してきた異物を “食べて” 消化・吸収してくれる細胞のため「食細胞(しょくさいぼう)」と言われたりします。
食細胞が細菌やウイルスを食べ、消化するときに「炎症」が起こります。
少しの細菌・ウイルスでは、少しの炎症で済むので、特に体調に変化はありませんが、大量の細菌・ウイルスを食べ、消化すると、炎症が大きくなり、結果として「発熱」という症状として出てきます。
風邪を引いたときに熱が出るのは、食細胞が細菌・ウイルスを大量に食べ、消化しているサインということですね。
食細胞が異物を食べて、消化して、炎症を起こして、体内から排除する、という免疫反応を「1型免疫反応」と言います。
異物にはもう1つ「寄生虫」がいます。
寄生虫は、細菌やウイルスの数千〜数万倍以上の大きさのため、大きすぎて、食細胞は食べることができません(=1型免疫反応ではやっつけることができない)。
食細胞では対処できない異物が体内に侵入してきた場合、免疫細胞は化学物質(ヒスタミンなど)を放出します。化学物質が放出されると、私達は「かゆい」と感じたり、「鼻水」が出たりします。
かゆいと感じたら掻きますよね? その「掻く」という行為によって、寄生虫を体から払い落としています。鼻水が出てきたら鼻をかみますよね?「鼻をかむ」という行為によって、寄生虫をその粘液と一緒に体外に出しています。
このような、化学物質が放出される免疫反応を「2型免疫反応」と言います。
私達はこの2種類(1型と2型)の免疫反応によって、体内に侵入した異物を体外に排出しています。
花粉症でアレルギー症状が出る理由
花粉症とは、簡単に言うと「花粉が体内に侵入し、その花粉に対して身体が免疫反応を起こし、鼻水が出たり、目がかゆくなったりする」という症状ですね。
「鼻水が出る」「目が痒くなる」という症状はつまり「2型免疫反応」が起きている、ということになります(1型免疫反応では発熱します)。
ですが、もちろん花粉は寄生虫ではありません。もちろん細菌やウイルスでもないのですが、寄生虫ではないのに、花粉を「寄生虫だ!」と反応してしまう、いわゆる「誤作動(=過剰に反応)」によって、体内に入ってきた花粉を体外にすぐに出そうとして、鼻水を出して洗い流そうとしたり、目を掻くことで目に入った花粉を掻き出そうとしたり、くしゃみをすることでのどに付着した花粉を吐き出そうとするのです。
花粉症は、身体がただの花粉に「異物だ!寄生虫だ!」と過剰に反応し、2型免疫反応を起こしてしまうことで、アレルギー症状が現れる、というメカニズムなのです。
【少し専門的な解説】体が花粉を「異物」としてとらえると、体内ではそれに抵抗する「IgE抗体」という物質を作り、次に体内に入ってきた時に攻撃して病気になるのを防ごうとします(=感作【かんさ】と呼びます)。
感作された状態で花粉がIgE抗体にくっつき、その刺激に過剰に反応してしまう(=アレルギー)ことによって化学物質が分泌され、アレルギー症状が現れます。
花粉症の症状を軽くする対策法7選
花粉症の症状を少しでも軽くするために、今日からできることを7つ紹介します。
1)マスクをつける
マスクをつけることで、口や鼻から吸い込む花粉の量を「3分の1〜6分の1」まで減らすことができます。
鼻もしっかり覆うことができる大きさで、自分の顔にフィットするマスク(=マスクと顔の隙間が限りなく小さい)ものを使用すれば、薬局等で誰でも購入できるマスクでも十分に花粉の量を抑えることができ、結果として症状を軽くすることができます。
インナーマスクを作って更に花粉を防ぐ
「ガーゼ」と「コットン」をマスク内側に置いた「インナーマスク」を装着することで、花粉をなんと「99%以上」防ぐことができるということです。
環境省による花粉症マニュアルで紹介されている「インナーマスクの作り方」がこちらです。
1)まず、2枚のガーゼをそれぞれ「15cm ✕ 15cmの正方形」に切る
花粉症マニュアルには「10cm ✕ 10cm」と書いてありますが、これで作ってみると、少しガーゼが小さい気がしました。
僕個人的には「15cm ✕ 15cm」がちょうど良い大きさでした。マスクの大きさによって変わる気がするので、調節してみてください。
2)化粧用コットンをクルクルと丸めて、1枚のガーゼでくるむ
ガーゼを半分に折り、丸めたコットンを端に置いて、クルクル丸めます。できあがったのが下の写真です。
これがいわゆる「インナーマスク」です。これを鼻の下に当てることで、花粉をほぼ100%カットできるということです。
3)もう1枚のガーゼを4つ折りにしてマスクの真ん中に当て、その上に丸めたコットン&ガーゼを置く
この状態で、丸めたコットン&ガーゼが鼻の下に当たるようにしてマスクを装着しましょう。
若干の息苦しさはありますが、フィット感がすごく増します。
また、マスクをしたメガネをするとメガネがくもるのですが、このインナーマスクをすると、僕はくもらなくなりました。
これで、花粉除去率99%以上ですから、花粉にかなり苦しめられている人は、ぜひ一度試してみると良いと思います。
もしあまりにも息苦しい場合は、コットンを半分に切って厚さを半分にして、クルクルと丸めましょう。
2)メガネ・サングラスをかける
花粉症は「花粉が体内に入る」ことでアレルギー症状が現れます。口や鼻から花粉が体内に入るのが基本ですが、花粉は「目」からも入ってきます。
よって、メガネやサングラスをかけることも花粉予防になります。普通のメガネをかけるだけでも「約40%」の花粉を防ぐことができます。
防御カバーがついている、いわゆる「花粉症対策メガネ」を使うと「約65%」もの花粉をカットできます(下リンクのようなもの)。
普段裸眼の方で、花粉症がひどいという方は、度が入っていないメガネやサングラスをつけると良いと思います。
僕は、ちょっと前に「ブルーライト対策」として、ブルーライトをカットする「度が入っていないメガネ」を購入しました。
夜寝るギリギリ前までパソコン作業をしていたりするので(このブログを書いたり、仕事したり)、このブルーライトカットメガネをかけて、睡眠の質が落ちないようにしています。
防御カバーはついていませんが、それでも40%ほどの花粉を防ぐことができるということで、最近はこのメガネを日中もかけて、花粉症対策として使い始めました。
3)綿の服を着る
服(衣類)の素材によって、花粉がつきやすい、つきにくいがあります。
花粉がつきにくいのは「綿」素材の服です。普通のTシャツや肌着で使われる生地ですね。
春先のまだ少し肌寒い季節には難しい場合もありますが、気にできる場合は綿の衣服を着用して外出するようにすると良いでしょう。
逆に花粉がつきやすいのは「ウール」素材の服です。セーターやコートなどでよく使われる素材ですね。
外出中に花粉がついてしまうだけでなく、それを室内に持ち込んでしまうので、花粉期間中はできるだけウール製品は避けると良いでしょう。
3−1)ウール素材を着る場合は「花粉がつかない」ように対策する
もしウール製品の服を着て外出する必要がある場合、もしくはした場合、やるべきは以下3つです。
- 「静電気防止スプレー」を外出前に衣服にかける
- 家に入る前に、手で衣服を払って花粉をふるい落とす
- 「衣類用粘着ローラー」で、手では払い落とせなかった花粉を取り除く
なぜウール素材に花粉がつきやすいかというと「素材が凸凹していることで花粉がひっかかりやすい」というのと、静電気が発生しやすく、「静電気で花粉が引き寄せられる」というのが理由です。
よって、外出前にまずは「静電気防止スプレー(下リンクのようなもの)」を衣服にスプレーします。
家に帰ってきたら、まずはざっくり手で衣服をはたき、花粉を払い落とします。
その後玄関に入ったら「衣類用粘着ローラー(下リンクのようなもの)」でやさしく衣類をコロコロして、細かい花粉を取りましょう。
これで、かなり花粉を室内に持ち込んでしまうのを防ぐことができます。
3−2)帽子と手袋で更に花粉をブロック
衣服で覆われていない部分にも花粉は付着します。特に「頭・顔・手」に花粉は付着しやすいです。
帽子をかぶることで、頭や顔に付着する花粉の多くをブロックすることができます。髪の毛が長い人は、束ねて髪の毛に花粉がなるべくつかないようにするのも良いです。
また、手袋をすれば手に付着する花粉も除くことができます。
花粉症の症状として「肌がかゆくなる」人は、ぜひ帽子と手袋も試してみると良いでしょう。
3−3)外に干した洗濯物にも注意
外に洗濯物を干せば、もちろんその干したものにも花粉は付着します。
洗濯物を取り込むときは、上記したように手で衣服を払って花粉を落とし、できれば衣服用粘着ローラーで花粉を取り除いてからクローゼット等にしまいましょう。
もしくは、花粉の時期は「乾燥機」や「浴室乾燥」などを利用して、外に干さないようにするのも良いでしょう。
4)帰宅したら「うがい」と「洗顔」
マスク、メガネ、綿の服、帽子、手袋と、できるだけ花粉が身体に侵入することを防ぐ対策をしても、うまいこと体内に入ってくる花粉がいます。
よって、帰宅したら「うがい」と「洗顔」をしましょう。
うがいは「のど」に付着する花粉を取り除くことができます。
更に、洗顔によって「顔」に付着した花粉を取り除きます。ただ、雑に洗うと逆に、目や鼻の周囲についた花粉を自ら目・鼻の中に入れてしまうこともあるので、丁寧に優しく洗いましょう。
また、上記したように「頭」にも花粉は付着するので、シャンプーで丁寧に頭を洗うことも、花粉症の症状を軽くする花粉症対策として有効です。
5)花粉が多くなる日・時間帯は特に注意する
花粉症の症状を少しでも軽くするためには「花粉をいかに避けるか」です。いつもよりも花粉が多くなる日は、特に注意して行動することを心がけましょう。
花粉が多く飛ぶ条件は、以下のとおりです。
- 「晴れ」で「最高気温が高い」日
- 「晴れ」で「空気が乾燥」していて「風が強い」日
- 「雨の日の翌日」で「天気が良い」日
- 気温の高い日が2〜3日続いた後
これらの条件が重なるような日に外出するときは特に、上記した「マスク」「メガネ」「綿の服」といった、できることはすべて行い、花粉症対策を念入りに行いましょう。
また、花粉が多く飛ぶ時間帯は「昼前後」と「夕方」です。つまり日中です。
なかなか「日中に外に出ない」を実行できる人は限られているかもですが、できるのであれば、室内にいることが花粉症の症状を軽くすることになります。
6)耳鼻咽頭科・眼科を受診する
薬局等で売っている花粉症の薬でも充分効くという方はそれでも良いですが、やはり病院で診てもらい、自分の症状に合った薬を処方してもらうのが、一番の治療法となります。
基本的には、自分が一番困っている症状を基準に受診する科を選べば良いです。
目がかゆくてしょうがないという方は、眼科を受診しましょう。鼻水やくしゃみがひどいという方は耳鼻科(耳鼻咽頭科)ですね。他、内科やアレルギー科、子供であれば小児科でも大丈夫です。
特に「目のかゆみ」は、そのまま放っておくと知らず知らずのうちに目を触ってしまい、そこから感染症など違う病気になってしまうこともあるため、症状がひどくなってきたらすぐに眼科を受診しましょう。
ただ、薬をもらったら大丈夫!というわけでもありません。現在では、薬のみで花粉症の症状を完全に抑えることは難しいと資料には示されており、薬をもらったとしても、上記したような「マスク・メガネをする」や「衣服に気をつける」といったセルフケアもしっかり行いましょう。
症状から「自分は花粉症だ」と考えている人が多いですが、一度病院で診てもらい、自分は「どんな花粉症なのか」を知ることで、より効果的な治療ができるようになります。もしかしたら、花粉症ではなく違うアレルギーかもしれません。症状がひどくなってきたという方は、ぜひ一度医療機関を受診することをオススメします。
6−1)花粉が飛び始める前から薬を飲む
花粉症が本格的に現れる前の時期から薬を飲んでおくことで、花粉症の症状がシーズンを通して軽くなることがわかっています。
症状が現れる前から薬を飲み始めたいという方は、一度病院へ行って診てもらい、その旨を伝えましょう。副作用の少ない花粉症用の薬を処方してくれるはずです。
6−2)薬の副作用には注意
「花粉症=アレルギー」なので、花粉症対策の薬には、眠気を引き起こしたり、集中力や判断力を下げてしまう可能性があります。
病院へ行けば、処方箋をもらう際にちゃんと説明してくれるので、しっかり聞いておきましょう。大事な仕事や受験テスト、長時間の車運転の前などの薬の摂取には注意する必要があります。
また、妊娠中や授乳中の女性も薬の服用には注意が必要です。どうしても飲みたい場合は、必ず医師に相談してください。
6−3)舌下免疫療法を試してみるのも手
花粉症の根治が期待でき、苦痛も比較的少ない治療法として「舌下免疫療法」の研究が進められ、有効性・安全性が証明されています。
2014年には舌下免疫療法の薬の販売が始まり、保険適用もされるようになりました。この治療に興味がある方は、医療機関で相談してみてください。
7)規則正しい生活習慣
花粉症に限らずですが、常に体調を万全にしておくためには、以下のような基本的なことをしっかりしておくことが、実は一番重要だったりします。
風邪をひかない
風邪をひくと免疫力が弱まるため、花粉症の症状が悪化しやすくなります。
風邪を予防するために「風邪をひかないために毎日の習慣にするべき7個の行動」の記事をぜひ参考にしてみてください。
たっぷり睡眠をとる
睡眠は、体調管理において最も重要な要素の1つです。睡眠の質を高めるためにできる基本的なことは、「厚生労働省発表の『睡眠12か条』から睡眠の質を高める方法を学ぶ」の記事に書きました。
飲酒・禁煙はほどほどに
過度の飲酒や喫煙は免疫力の低下を招き、花粉症の症状を悪化させることはもちろん、体調のあらゆる面に悪影響を及ぼします。
まとめ
花粉症の症状を少しでも軽くするために、今日から実践できることを7つ紹介しました。改めてまとめます。
- マスクをする
- メガネ・サングラスをする
- 綿の服を着る(衣服の素材に気をつける)
- うがい・洗顔をする
- 花粉が多くなる日・時間帯に注意する
- 耳鼻咽頭科・眼科を受診する
- 規則正しい生活を心がける
1つ1つは小さいことでも、しっかり行い続けることで、必ず花粉症の症状は軽くなります。
花粉に負けず、充実した春を過ごしましょう!
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