あなたが(もしくはあなたの両親、おじいちゃんおばあちゃんなどが)血圧計を使って自分で血圧を測るとき、姿勢や腕の位置などを気にして測定していますか?実は、測るときの姿勢や腕の位置、さらには血圧を測る前に何をしていたかによって、得られる血圧の値は大きく変わってしまいます。誤った測り方によって得た血圧の値を元に治療等をしてしまうことは、効果的な治療にならなかったり、危険も伴います。

今回の記事で紹介する「8つのポイント」を意識して血圧を測るだけで、毎回正しい血圧の値を得ることができます。正しい血圧の測り方を学んで、あなたやあなたの周りの人が、正しく血圧を測ることができるようになりましょう。


>>今回の記事の参考文献はこちらです。

high-blood-pressure-guideline高血圧治療ガイドライン2014|日本高血圧学会
2000年、2004年、2009年と改定され、この2014年版が最新の第4版です。151名ものメンバーが作成委員として挙げられています。科学的根拠に基づいてエビデンスレベル分けもされており、信頼できる情報だと思います。

正しい血圧の測り方|8つのチェックポイント

それでは早速、正しい血圧の測り方を、8つのポイントに分けて紹介していきます。今回の参考文献である「高血圧治療ガイドライン2014」によると、非常に多くの人が血圧を正しく測定できていないと言います。

普段、自宅で簡単に測定できる電子血圧計などを利用して血圧を測っている方は、最低限、以下に紹介する8つのことを守りましょう。特に難しいことではありませんが、これを意識するだけで、正確な血圧の値を得ることができます。

1)血圧を測る前に「喫煙・飲酒・カフェインの摂取」はしない

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なんとなく想像はできるかもしれませんが、タバコを吸ったり、アルコールを摂取したり、コーヒーなどによってカフェインを摂取すると、脈拍や血圧は上がります。よって、血圧を測る前にこれらを行うと、あなたの普段の血圧の値を得ることができません。少なくとも、血圧を測る30分〜1時間前はこれらの摂取・行動は控えるようにしましょう。

2)静かで、暑すぎず寒すぎない快適な温度の部屋で測る

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人間の体は、寒いと感じると自然に体を温めようとし、暑いと感じれば体温を下げようとします。ヒトの体が無意識に行う「体温調節」が起こっているときは、血圧は上がったり下がったりと変動します。特に、寒い部屋で血圧を測定すると、得られる血圧の値は高めに出てしまうことが研究によってわかっています。

また、周りがうるさかったりなど、何かストレスに感じるようなことがあると、それも血圧の上昇に繋がります。静かで快適な温度の場所で血圧は測るようにしましょう。

3)厚手のシャツや上着は脱ぐ

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上着やジャケットなどの上から血圧を測ることはやめましょう。その上着の厚さによって、しっかりと腕を圧迫することができなくなってしまうため、正しい血圧の値を得ることができません。

また、上着やシャツを脱がずに腕をまくって測る方も多い印象がありますが、肌が出ていれば良いという訳でもありません。袖をまくることで、その袖で腕を圧迫してしまうため、正しい血圧を測定することができません。

上着は脱いで、血圧計がしっかりと腕を圧迫できるような状態で、血圧を測りましょう。

4)背もたれ付きの椅子に深く座ってリラックスした姿勢で測定

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参考文献には「原則として、背もたれ付きの椅子に脚を組まずに座って、1〜2分の安静後に測定するべき」とあります。背もたれがある椅子に深く座ることで、より身体をリラックスさせた状態で測りましょう。

5)椅子に座っていきなり測定を始めずに、数分は安静にする

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椅子に座っていきなり血圧を測り始めるのではなく、1〜2分は座った状態でリラックスして、心と体を落ち着けてから測定を始めましょう。

また、会話も禁止です。会話をするだけで血圧は変化してしまいます。もし家族などが周りにいる場合は、血圧を測り始める前に、あなたに話しかけないように伝えましょう(大きい声・音も出さないようにしてもらう)。

6)血圧計は自分の心臓の高さにセットする

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病院などでお医者さんに血圧を測定してもらう時でも、家で自分で電子血圧計などで測定する時でも、測定位置は必ず心臓の高さで行いましょう。測定位置は上腕であることがほとんどのため、上腕と心臓の高さが同じになる位置で測ります。

また、測定位置は測定中ずっと変えないようにするべきです。よって、血圧を測り始める前に、腕がラクな状態にしてから測り始めましょう。

7)カフが肘を圧迫しないように、上腕にカフを巻いて測定

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血圧を測る時によくしてしまうミスが、「カフで肘を圧迫してしまう」というものです。しっかりと上腕を圧迫しないと、正しい血圧の値を得ることはできません。上腕とは「力こぶができる位置」のこと。もし上写真のような器具を使って血圧を測る場合は、血圧測定開始のボタンを押す前に、圧迫される穴からしっかりと肘を向こう側に出して、上腕が圧迫される位置にあることを確認したうえで測り始めましょう。

8)1〜2分おいてもう一度測定。2回の測定値の平均値を出す

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もし時間があれば、数分時間をおいて2回測定できるとよりベターです。2回の測定で得た血圧値の平均を出すことで、より正確な血圧の値を得ることができます。もし時間がなければ1回でも良いですが、余裕があるときはぜひ2回測定して、その平均値を出してみてください。

正しい血圧の測り方|器具・タイミング

上記した8つのポイントは、血圧を測る時に注意すべき点でした。次に解説するのは、血圧を測定する「器具」についてと、血圧を測定する「タイミング」についてです。

正しい血圧を測るには「上腕」がベスト

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現在の血圧計は、様々な部位で血圧が測定できます。上腕が一般的だとは思いますが、手首で測定できるものや、指で測定できるものなどもあります。日本高血圧学会によるガイドラインには、「指用の血圧計は不正確である」と断言しています。よって、指用の血圧計を使うのはやめましょう。また、手首用の血圧計も、手首は出っ張った骨があることによってうまく圧迫ができないことがあり、こちらも正確とは言えないとしています。

もし自宅でより正確な血圧を測定したい場合は、上腕で測定するタイプの電子血圧計を購入するべきでしょう。

血圧を測るベストなタイミング

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あなたの正しい血圧値を測定するベストなタイミングはズバリ、以下の2回です。

  1. 「朝起きてから1時間以内」で、「おしっこをした後」「朝食を食べる前」「朝の薬を飲む前」
  2. 「寝る前」に、「お風呂に入ってから1時間以上経った後」

つまり朝は、起きておしっこに行ったら、そのまま背もたれのある椅子に座って数分安静にして血圧を測る。夜は、お風呂に入って1時間ほど経ったら血圧を測り、そのままベッドに行きましょう。毎日のルーティーンにしやすいと思います。注意点は、どちらのタイミングでも座ってすぐ血圧を測り始めないこと。1〜2分は椅子に座った状態でまず安静にしましょう。

基本は、1日にこの2回のタイミングで毎日測定を行います。その他、もしお医者さんに測定するべきと言われたタイミングがあれば、そこでも測ります。

血圧は短時間・短期間でもとても変動しやすいものです。よって、たまたま高めの血圧値が出たり、低めが出たりすることがよくあります。その時の1回の測定値を信用しすぎて(あぁ。。。高血圧だ。。。やばい)と悲観するのではなく、1〜2分ほど間を空けてもう一度測定して、まずはその日そのタイミングでの平均値を出しましょう。それを毎日、同じタイミングで血圧を継続して測定することで、あなたの正確な血圧値がわかってきます。

まとめ

以下、正しい血圧の測り方を改めてまとめます。

  1. 血圧測定前に「喫煙・飲酒・カフェイン」は禁止
  2. 快適な温度の部屋で測定
  3. 上着は脱ぐ。袖をまくらない
  4. 背もたれ付きの椅子に深く座ってリラックスした状態で測定
  5. 座ってすぐ測定を始めない。数分は安静に
  6. 血圧計は心臓の高さに
  7. カフは上腕を圧迫。肘にかからないように
  8. 数分おいて2回測定した平均値を出すのがベター

上に挙げた8つのポイントに注意して、なるべく同じ状況で毎日測定することが、あなたの正しい血圧値を得るコツです。次血圧を測る際は、ぜひ気をつけてみてください。

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