激しいスポーツや運動をしていれば、出血はつきものです。小学生や中学生は、しょっちゅう転んでは体のいたるところに傷を作り、出血します。よって、両親や学校の先生、運動の部活動の顧問の先生や運動指導者は、出血が起きてもすぐに止血ができるくらいの正しい知識は持っておきたいですよね?
鮮やかな赤い血がいきなり流れてきたら、びっくりして慌ててしまうかもしれません。でも大丈夫。多少の血を失ったところで、人は全然元気です。冷静に落ち着いて対処すれば、止血はとても簡単です。知っているか、知っていないか、というだけなのです。
今回は、鼻血が出てしまったら、または身体のどこかから出血が起きたら、どのように応急処置・対処をすればいいのか。安全に、そして確実に止血する方法を順番に詳しく解説していきます。
>>参考にした資料はこちらです。
出血を見つけたら?止血の方法
出血が起きた時、どのような順番で止血を行えば良いのでしょうか?1つずつ順番に見ていきましょう。
1)まずは落ち着くことが大事
まず何より、血を見ても慌てないことが大切です。
人間の血液は体重1kgあたり約80mLです(例:体重60kgの人は約4800mLの血液が体に流れています)。そして、全血液の1/3(3分の1)を失うと生命の危険があります。
例えば、体重60kgの人であれば、1600mLの血液を失うと生命の危険があります。1600mLと言えば、1.5リットルのペットボトルよりも多い量。よっぽどのことがない限り、こんな大量の血液を失うことはありません。今から紹介する止血法を、慌てずに、ゆっくり行えば、なんの問題もありません。
もし結構な出血をしていても、すぐに命に関わるなんてことはありません。深呼吸をして、まずは落ち着きましょう。
2)ゴム手袋をして、自分の身を守る
自分で自分の血を止めるときは必要ありませんが、人の血を直接触ることは絶対にやめましょう。感染症(HIVやB型肝炎など)になってしまうおそれがあります。必ずゴム手袋をしてから、止血や傷の手当てをはじめましょう。
もしゴム手袋がなければ、穴があいていないビニール袋でも大丈夫です。くれぐれも穴があいていないことを確認してから、ビニール袋の中に手を入れて、ビニール袋越しに出血部位を触ります。
トレーナーや運動指導者は、子供や選手が運動中に出血をしてしまうことは日常茶飯事でしょう。よって、ゴム手袋はぜひ救急箱に準備しておきましょう。稀にラテックスアレルギーの人がいるため、もし購入するならラテックスフリーのゴム手袋がおすすめだと思います。
3)出血した患部を直接圧迫する
「直接圧迫法」なんて言われ方をよくしますね。ガーゼを傷口に置き、その上から圧迫します。基本的に、身体のどこから出血したとしても、この方法でだいたい血は止まります。
ガーゼがない場合は、なるべく清潔なハンカチやタオルなどを使いましょう。もし本人が圧迫できる場合は、自分で圧迫してもらいます(上写真のように)。ゴム手袋などがなくて手で直接圧迫できないときは、ガーゼを傷口に置いて、それを包帯などをキツめに巻くことでも直接圧迫をすることができます。
数分後、もし包帯に血がにじんできたら、その包帯は取らずに、その上からまたガーゼをおいて、更にその上からまた包帯を巻きましょう。
止血に必要なものは、上で紹介したゴム手袋の他に、傷口に当てる「滅菌ガーゼ」や、しばらく固定しておくための「伸縮包帯」は救急箱に入れておきたいですね。
【おまけ】鼻血の止血方法
鼻血の場合は、両側から鼻をつまんで直接圧迫しましょう(右写真のように)。
また、鼻血が出たときは、必ず下を向きましょう。上を向くと、口の方に血が流れ、それを飲んでしまうことによって気分が悪くなったり、吐いてしまうこともあります。最初はダラダラと血が流れてしまうかもしれませんが、気にすることはありません。
「座った状態で、軽く下を向いて、強めに直接圧迫」をすれば、大体の鼻血は数分もすれば止まります。
出血が多い場合は、ガーゼなどを切って鼻の穴につめましょう。鼻をつまんでの直接圧迫は続けます。また、おでこ〜鼻のあたりを氷で冷やすことで、症状が和らぐこともあります。
もしここまでやっても全然鼻血が止まらない場合は、かなり深い傷が鼻の中でできてしまっている可能性があるので、すぐに病院へ行きましょう。
なお、鼻血が止まったとしても、しばらくは鼻をかむのは避けましょう。
子供は本当によく鼻血を出します。よって、もしあなたが子供の運動指導をしていたり、子供と関わる仕事をしているなら、「鼻血用のガーゼ」を救急箱に入れておくととても便利です。
4)出血部位を心臓より高く上げる
鼻血の場合は、鼻は心臓より上にあるので気にする必要はないですが、手や足で出血が起きた場合は、出血部位を心臓よりも高く上げることで、重力によって、過度の出血をおさえることができます。
傷口を直接圧迫して、心臓より高くあげて、おとなしくしていれば、5〜10分でたいていの出血はおさまります。
5)止血点による間接圧迫
「直接圧迫」と「心臓より高く挙上」の2つをしても止まらない場合や、ガーゼやハンカチなどがすぐには手に入らず、直接圧迫をすぐに始めることができないときは、止血点を指や手のひらを使って圧迫(=間接圧迫法)します。
間接圧迫法については、今回参考にした日本赤十字社ホームページの止血法のページをみてください。
6)止まらない場合は病院へ!
よほどの大出血でない限り、これらの処置を行えば、たいていの出血は15分以内には止まります。もし止まらない場合は、見た目以上に深い傷であるか、どこか他の部位に原因があります。すぐに救急車を呼ぶか、医師のところへいきましょう。
まとめ
ちょっとした出血は、どんなスポーツでも関係なく起こり得ます。すぐに止血の処置ができるように、部活動の顧問の先生やマネージャー、指導者などは常に、ガーゼや包帯、バンドエイドなどを含む救急バッグは用意しておきましょう。
また、出血が止まったら、今度はその傷をより早くキレイに治すために応急処置をする必要もあります。「擦り傷・切り傷を早くキレイに治す方法【家で簡単にできます】」の記事もぜひ読んでいただけたらと思います。
Comments are closed.