運動・トレーニング

お尻の筋肉を鍛えるトレーニング5選【科学的根拠・エビデンスつき】

「お尻の筋肉」は、私たちの身体が持つ筋肉の中で一番強い筋肉と言われています。お尻の筋肉(特に大臀筋と中臀筋)をしっかり使えるようになると、運動やスポーツのパフォーマンスは格段に良くなります。

また、お尻の筋肉をしっかり鍛えることは、膝や足首など下肢の怪我を予防する効果もあります。さらに、ヒップアップをして見た目の良いお尻を作りたいという女性も多いのではないかなと思います。

今回は、世間で言われている数あるお尻の筋肉を鍛えるトレーニングの中で、リハビリでも使えて、ダンベル等の器具も特に必要のない、より効率的で効果的なトレーニングを5つ紹介します。


>>参考にした文献はこちらです。

hip-exercise-systematic-review「An Examination of the Gluteal Muscle Activity Associated with Dynamic Hip Abduction and Hip External Rotation Exercise: A Systematic Review」 お尻を鍛えるトレーニングを行っている際の筋肉の活動をEMGを使用して調べた研究を集め、比較したシステマティックレビューです。

お尻の筋肉を鍛えるためにお尻の役割を知る

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お尻の筋肉で特に大切なのが「大臀筋(だいでんきん)」と「中臀筋(ちゅうでんきん)」です。

大臀筋の主な役割は、股関節伸展(=脚をお尻側に引く動き)と股関節外旋(=膝を伸ばした状態の時に、つま先を外側に回転させる動き)。股関節の外転(=脚を横に開く動き)にも関わります。

中臀筋は、股関節外転と股関節の回旋(内旋と外旋)を行います。

多くの研究で、これら2つのお尻の筋肉を鍛えてしっかり使えるようにすることは、パフォーマンスを向上させるだけでなく、下肢の怪我の予防にもつながると報告されています。

【トレーナー向け】 大臀筋・中臀筋の作用についてもう少し踏み込んでみます。大臀筋は上部の繊維のみ、股関節外転の機能があります。中臀筋は、前側(=お腹側)にある繊維が股関節内旋、後ろ側(=背中側)の繊維が股関節の外旋の働きをします。

お尻の筋肉を鍛えるとパフォーマンス向上・怪我の予防に

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お尻の筋肉は、歩いたり走ったりなどの運動の中では、主に以下の2つの役割を果たしています。

  • 股関節を安定させる(=stability)
  • 股関節と膝関節を正しいアライメントに維持する

大臀筋や中臀筋が動きの中でしっかり働かないと、臀筋の機能とは逆の動きである「股関節の内転(=脚を内側に閉じる動き)と内旋(股関節を内側に回転させる動き)」が動きの中で頻繁に起こってしまい、その結果、股関節や膝関節の怪我につながってしまいます。

また、参考文献であるシステマティックレビューでは、特に股関節外転の筋力低下が起きると、その筋力を補うために腰・骨盤・膝関節を過度に使うことになり、負担がかかってしまう(痛みが生まれる)と報告しています。

具体的に、お尻の筋肉の弱さや機能低下がどのような怪我につながってしまうのか。エビデンスによって明らかになっている3つの関係をお伝えします。

1)「お尻の筋肉の弱さ」と「膝の怪我」には強い相関関係がある

お尻の筋肉の弱さ(特に股関節外転と外旋)があったり、股関節をうまく動かすことができないと、膝の痛みや怪我(=膝蓋大腿疼痛症候群など)に繋がりやすいことが研究でわかっています。

2)お尻の筋肉をうまく使えないと腰痛になりやすい

システマティックレビューの中では、お尻の筋肉の弱さと腰痛には高い相関関係があると報告しています。

3)股関節外転筋の弱さは様々な怪我につながる

股関節の外転という動きを行うお尻の筋肉(特に中臀筋)の弱さは、様々な怪我に繋がることが研究によって明らかになっています。起きる可能性の高いケガと言われているのは以下の通り。

  • 腸脛靭帯炎
  • 慢性的な足首(=足関節)の不安定性
  • 膝蓋大腿疼痛症候群

やっかいなケガばかり…という印象です。

筋力トレーニングの効果は「筋電図検査」で見る

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ここでちょっとだけ「お尻のトレーニング」の話から、「論文の探し方」に脱線したいと思います(トレーナー向けです)。

「〇〇筋を鍛えるためのより良いエクササイズを探す」というようなときは、「筋電図検査(=Electromyography)」を使った研究を読むといいと思います。Electromyographyは、筋肉が活動している時の電気活動レベルを調べる装置です。基本的には「より高いレベルの電気活動が起これば起こるほど、そのエクササイズは筋トレに効果的だ」と言うことができます。

もう少し深くみていきます。

筋トレとして効果がある(=筋力の増加が期待できる)だろうと言われている電気活動レベルは「最大随意性等尺性収縮(=Maximum Voluntary Isometric Contraction)が40〜60%を示すトレーニング」と言われています。60%以上を示した場合はかなり高い電気活動と言えます。一方、「25%以下」の電気活動レベルは、安定性を維持しているレベルの筋活動と言われています。

エビデンスに基づいた効果的にお尻を鍛えるトレーニング5選

それでは、電気活動レベルが高かったお尻(大臀筋・中臀筋)の筋肉を鍛えるトレーニングを紹介していきます。

基本的には、荷重状態でのトレーニング(=立った状態)の方が、非荷重でのトレーニング(=横になった状態など)よりも筋活動レベルが高くなる傾向にあります。やはり立って行うことで、足首・膝・股関節等に負荷がかかり、片足で立つフェイズになるとバランスも取らないといけなくなるため、お尻の筋肉をより使う必要がでてくるのでしょう。

1)ラテラル・ステップアップ

6つの研究で「ラテラル・ステップアップ」を行った際の大臀筋の電気活動レベルが調べられ、平均は「49.6% (±15%)」でした。

ベンチ(=ステップアップをする段差)は、高ければ高いほど大臀筋の筋活動は大きくなります。ある1つの研究の中では、45.7cmのBoxが使われた時の大臀筋の電気活動レベルが「113%」に達したという報告もあります。
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2)クロスオーバー・ステップアップ

システマティックレビューの中で出てきたエクササイズの中で、大臀筋の活動が一番活発になったのがこのエクササイズでした。この動画では左右交互に行っていますが、片側ずつでも全く問題はありません。動画のようにダンベルのようなものを持つと更に負荷がかかって良さそうですね。

また、①のラテラル・ステップアップと同じように、段差(ベンチやボックス)の高さが高ければ高いほど負荷は上がります。高くしすぎて姿勢が悪くなってしまったら全く意味はないですが。

1)の「ラテラル・ステップアップ」と、2)の「クロスオーバー・ステップアップ」は、ともに大臀筋の電気活動レベルがかなり高いですが、中臀筋もかなり活性化されています。理由は、Boxに上がる際に片足になるため、バランスをとるために骨盤や膝を安定させる必要があるため、その安定のために中臀筋もしっかり働くのです。

3)スタンディング・ヒップアブダクション(ミニバンド@足首)

中臀筋のエクササイズとしてとても良いエクササイズです。バンドの強度が高くなるほど、電気活動レベルは上がっていきました。電気活動レベルは最高で「101%(±7%)」を記録しています(1つの研究のみでの結果ですが)。

「[ミニバンド](https://www.amazon.co.jp/SKLZ-%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E3%82%BA-%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%8D%E3%82%B9-%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88-%E3%80%90%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%AD%A3%E8%A6%8F%E5%93%81%E3%80%91/dp/B0007ZO5TU?SubscriptionId=AKIAJ5W7OLEKOAANIKOA&tag=atsushiyama7-22&linkCode=xm2&camp=2025&creative=165953&creativeASIN=B0007ZO5TU "SKLZ(スキルズ) フィットネス トレーニング チューブ ミニバンドセット 005005 【日本正規品】")」は、お尻を鍛えるとても良いおすすめのトレーニングツールです。私もトレーニングや、トレーニング前のウォームアップで必ずと言って良いほど使うツールの1つです。1つ持っておくと家でも簡単にお尻を鍛えることができますよ。

ミニバンドは1つ持っておくと自宅で簡単に効果的なトレーニングを行うことができます。「ミニバンドトレーニングおすすめ10選|自宅で筋トレならこれです」の記事でまとめてみました。

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4)サイドブリッジ・アブダクション

ここからは横向きに寝て行うエクササイズ(=非荷重)です。

基本的には、体重がかかる「立位(立った状態)」でのエクササイズの方が効果が高いですが、手術をした後や怪我をしていて荷重できない時など、非荷重でのエクササイズが必要になるときもあります。

システマティックレビューの中で出てきたエクササイズの中で、中臀筋の活動が一番活発になったのがこのエクササイズでした。

5)サイドライイング・ヒップアブダクション

この「サイドライイング・ヒップアブダクション」も、中臀筋のエクササイズとしてとても有効です。

色々なやり方が紹介されていますが、私はこの動画のように、かかとを壁につけてやる方法が良いと考えています。かかとで壁を少し押すことで大臀筋も活性化させることができるため、中臀筋も活性化しやすくなると私は考えています。

これは私の考えですが、壁から身体を10cmくらい離してかかとだけ壁につけることで、股関節は伸展位になります。股関節を伸展位にすることで大臀筋を働きやすくします。さらに、上の動画ではつま先が若干下を向いていると思いますが、私個人的には、つま先は若干上に向けてやるといいと考えています。理由は、つま先を少し上に向ける(=股関節外旋位にする)ことで大腿筋膜張筋が働きづらくなり、より中臀筋が働きやすくなる、私は考えています。

まとめ

お尻の筋肉をしっかり使えるようになると、走るスピードやジャンプ力など、運動中のパフォーマンスがかなり向上していきます。また上記しましたが、私の経験上でも、腰痛持ちの方の多くはお尻の筋肉をうまく使うことができていないように思います。

スポーツ選手も、サラリーマンも、主婦の方も、多くの人が、お尻の筋肉を鍛えることで、きっと生活がラクになると思います。ぜひ、紹介した5つのトレーニングをやってみてください。

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